俳句・川柳・都々逸・短歌 《短歌》 《短歌》 園田 國昭 福岡市 殺戮と破壊の像が茶の間にも無差別多発に侵攻してくる 追われゆく老・婦女・子らが列をなす非道を人道回廊とは 兵去りし町の惨禍にまたしても人の所業のリアルを認む 地べたにて敵に抗うウクライナ晦(くら)まされるな上(うわ)の政治に 支援供与の名のもとに東西の力の影が頭上を飛び交う 抗戦も戦争になるしかなきや武器が武器を呼びほくそ笑むあり ゼレンスキーも忖度知るやチェルノを云うも福島広島の名なく 独壇の能面プーチン露出して大ロシアなる背後霊あり 春われら桜回廊かの地にも戦禍踏みしめひまわり咲く日を 大勢の君のさいわいが普通になる仕組み想えり水仙の叢(むら) 節分も啓蟄も過ぐまだ福は内とばかりに自宅待機す 木の芽摘み筍和えにて一献世界を閉ざす最後通牒に 真夜の雨眠れとばかりに耳朶を打つ寝(い)ねば朝は白骨なるや 初の蚊のぶんぶぶんぶと嗤いおりされどさりながら「荒凡夫一茶」 俳人は人に非ずば歌詠みよ鬼となるべし人間(じんかん)に在り (元山仁士郎さん、本土復帰50周年前より国会前などで抗議のハンスト) 県民に問い日本国に抗議する青年の飢餓 肝心(ちむぐくる)痛し 復帰とは来るべき自己に生(あ)れること沖縄よまだ我ら終わらざり 山田 政光 熊本市 水口を開けて導く用水の小さい流れが農家の命 大空に駆け上がるごと野火が舞う阿蘇の原野に春は近づく 外輪を斜めに野火が駆け上がる空をめざして火龍の如く 独裁者ひとり世界が泣いている鉄のカーテン再びロシア ひまわりの大地揺るがす砲声がロシアの蛮行止まるを知らず 親し気にウラジミールと呼んだ人君の出番だ侵略止めよ 銀杏黄葉守り継がれて康平寺 《俳句》 谷岡 亨 北九州市 *2022年3月作品 川岸に菜の花咲いて蝶の舞い 豊後梅白き花咲き庭照らし 公園の桜つぼみの膨らんで 川沿いに咲く桜道人の道 道の辺にタンポポ咲いて励まされ *2022年4月作品 川沿いの満開桜仰ぎつつ 花露を吸いて喜ぶ鳥と虫 山あいに藤花咲いて風に揺れ 庭先に牡丹つぼみのふくらんで 新緑の山里庭を照らすごと クラスターに在宅勤務とワクチンと *熊本市俳句同好会の皆さんの作品です。 令和4年4月作品(兼題 水温む・つくし・ほか) 岩本 美紀子 赤土の橋を映して水温む 清水の桜散る坂上り下り 弟や笑顔残して春星に 上村 秀子 産声や桜咲く朝動画来る 揺らされて風に踊るよ花吹雪 郵便や受取拒否を返す春 甲木 芳子 菜の花と空の青さよ反戦歌 夜桜に平和を祈り手を握る 春塵や目をしょぼしょぼとかカフェオーレ 久家 覓 刺してみる湯?く筍竹串で 先輩と植ゑし桜や半世紀 催花雨や蕾膨らむ夕桜 高宗 孝輔 白杖の祖父見上ぐるや春うらら (熊本俳句選で入選作品) 久々に酒許されて雛の宴 春コート着たまま父子キャッチボール 村 宏子 花こぶし久しぶりねと杖置いて うぐひすの声聞く朝やゴミ当番 土筆摘む転がる子のヘルメット 田中 千鶴子 やわらかき言葉掛け合ひ花巡り 物干しの足下あたりつくしんぼ 彼岸入り平和を願ひ鐘をつく 西田 典子 蕗の薹ほろ苦きほど父を恋ふ 城下濠に大鯉ゆるり水温む レジの娘マニュキラきらり春逃す 西山 立身 地獄下のロシア侵攻春の泥 水ぬるむ妻の鼻歌はずれてる つくしんぼ施設の母を思ひ遣る 山田 政光 風柔く土筆顔出す畔の上 風に舞ひ波にゆらゆら花筏 コロナ禍や自粛の花見人まばら 渡辺 ちず子 美(は)しき国戦場となる麦の秋 里山や夢は嵯峨野の春を行く あたたかやボール追ひかく河川敷 田島 三閨i講師) 天婦羅の下のざわざわ春キャベツ つくしんぼ母はゆるゆる土手を下り ばっしゃんと鯉のジャンプや水温む 山田 政光 大阿蘇を焦がして野火は龍となる (この作品は熊本俳句選で入選になった句です) 阿蘇谷に野火の香満ちて春近し 水温む水路に魚の影動く 畔塗りの祖父の面影水鏡 春泥や父母の苦労を今に知る 幼子と夕餉の膳に土筆採る マスクして笑顔の見えぬ卒業子 堰堤の水路に漂う花筏 泣き叫ぶ孤児に無常の春の雪 春雪の戦場さ迷う孤児のあり ひまわりの大地に響く砲声が 父母求め戦場逃る幼子の 《川柳》 東内 純子(新宿区) 爪までも 歳と共に 弱くなり アボガドが 認知症予防に 効くみたい お互いに 相手思いやる 心持ち 虎太郎さん 甘えるときは 定位置で 虎太郎さん 地震の揺れで 机の下