美山の里2 投稿者:関西のヒマジン 投稿日:2007年 9月14日(金) 北山杉の美林が道路沿いに見渡せる周山街道は、京都市内から木工の町周山町を結び福井県小浜に通じており、 北山杉が四方に見渡せるこの辺りは川端康成の小説「古都」でも有名な場所です。 また、別名鯖街道とも言います。 鯖街道といえば、一般的には、京都から滋賀県の朽木村を経由して福井に抜ける道を言いますが、他に何本もあったようです。 要するに内陸地の京の都に海の魚を運ぶため、京都から福井へ抜ける道は、鯖街道と呼ばれたようです。 そして京の都へ通じる道の一つであるこの道は、、昔から都人が色んな思いを胸に通ったことでしょう。 ところで皆さんは常照皇寺というお寺を御存知でしょうか。 一行のうち2人は京都人で、彼らの推薦の寺が常照皇寺であり、周山町の近くにある有名な寺だそうです。 私は初耳だったので、「京都の人の間でだけ有名ではないの」ということでその場をごまかしました。 天皇ゆかりのこの寺の拝観は4時までで、着いたときは4時を少し回っていたので建物の中には入れませんでしたが、 境内を散策することは出来ました。 さすがに観光客もここまでは来ることが無いようで、苔むした階段がそのことを表していました。 苔の絨毯を踏みしめる感触は何とも言えず良いものです。 目的地は美山町の中心地から車でさらに2、30分行った所にありました。 そこは2、30件のかやぶきの集落からなり、私たちが泊まる建物は築130年を経過している民家でした。 宿に着いたら先客はもう到着しておりました。 6人のうちの1人であるこの先客は、奈良から自転車でここ美山の里までサイクリングしてやってきていました。 62歳になる彼は、1昨年癌の手術を受け胃の殆どを摘出しましたが、幸い転移を免れて今では人並み以上の健康体となっています。 まるで、旅人ーMさんを髣髴とさせる人物です。 宿に着くなり「外で風呂に入って来い」ということで私達は車で5分のところにある、美山町自然文化村「河鹿荘」へ向かいました。 外風呂は予約を入れたときから分かっていましたが、そのときは宿から5分とだけ聞いていたので、 てっきり歩いて5分だろうと思っていたら車で5分でした。 そしてこれもあとで分かりましたが、宿には内風呂がありました。 しかし、老夫婦2人で切り盛りしている宿ですので、風呂までは手が回らなく、外の施設の大きなお風呂を薦めたのでしょう。 「河鹿荘」は露天風呂と大浴場のほか、宿泊や食事も出来、バラ園、観光りんご園、キャンプ場、 テニスコートや文化ホールなども兼ね備えたリゾート施設でした。 おそらく町おこしの一環として作られたものでしょう。 露天風呂にはバラを浮かせていて、バラの香りを嗅ぎながら入浴することが出来ました。 また、大浴場は男風呂と女風呂にそれぞれ軽皇子(かるのみこ)と衣通姫(そとおりひめ)という人物の名が 付けられていました。 この日本書紀に登場する人物とこの地がどんな関係にあるのかは分かりません。 滝を見に山に分け入ったりした旅の疲れをお風呂で洗い流し、さっぱりした気分でかやぶきの宿にお邪魔することになりました。