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                   画期的な癌の治療法

                        投稿者:碇 民治 


   これは9月5日にNHKで放送されたものです。
   

   それは過酸化水素水を使った増感剤を「癌」の治療に使う革命画期的な治療法でした。
   増感剤を開発したのは、高知大学医学部付属病院です。
   子宮がん専門の小川恭弘教授です。

   「癌」は大きくなると内部にある酸素が減少します。代わりに抗酸化酵素という物質が
   大量に発生します。この状態で放射線を当てると、水は高いエネルギーをもった
   ラジカルな状態になりますが、結びつく酸素がないため癌細胞を退治することが
   できません。
   しかも抗酸化酵素によって、ラジカルな力を消されてしまいます。
   間接作用が働かなくなるため、放射線治療の効果が著しく低下するのです。
   どうすれば治療の効果が上がるのか、小川教授は毎晩実験室に閉じこもり、がん細胞の
   研究をしました。
   癌細胞の特性を知るため、癌細胞を薄く切り取ってガラス板に張り付け、消毒薬を
   浸しました。
   消毒薬はオキシドール(過酸化水素水)です。

   今から13年前、いつものように研究の準備作業を行っているとき、小川教授はあることに
   気が付きました。「これは何の泡か、何かに使えるはず」と思い続け、疑問を持ちました。
   それは癌細胞から出る無数の小さな酸素の泡でした。酸素の泡は放射線の治療に劇的効果が
   あることに気づきました。
   癌細胞の特性を知るために、癌細胞を薄く切り取ってガラス板に張り付け、放射線の
   効かない大きな癌にオキシドール(過酸化水素水)をいれると、抗酸化酵素は消滅し、
   同時に過酸化水素水家ら大量の酸素が発生します。
   そこに放射線をあてると、ふたたび水は高いエネルギーをもったラジカルな状態となります。
   そして、酸素と一緒になると癌細胞を退治する理想的な環境を取り戻すことができるのです。
   小川教授は、この仕組みを癌治療に応用し始めました。

   まず挑戦したのは皮膚癌の患者。
   患部に過酸化水素水を浸したガーゼを当てると、実験と同じような酸素の泡が発生。
   この状態で放射線をあてたところ、これまで放射線治療では治せない大きな癌が、
   数ヶ月でほぼ消滅しました。正に異常な効き方、これほどの効き目は内というほどの
   効き方でした。
   しかし、皮膚ではなく、体の中に使うには大きな障害がありました。
   過酸化水素水を体内に入れるのは、医学の常識ではあり得ないことだったからです。
   過酸化水素水は酸素を発生させます。そのため、もし酸素が入ると、酸素の泡が血管
   を詰まらせる恐れがあるからです。
   「注射をしてはいけません」というのをあえて注射するというのは、不安を通り越して
   恐怖感というか「こんなことをしていいのか」という思いはありました、と小川教授は
   言っておられました。
   体内での過酸化水素水を使うマウスでの実験を重ねました。 過酸化水素水は血管に
   はいると、少量であれば危険はありません。実験の結果、安全な分量を探り出すことが
   できました。治療で使うときは、万が一のことを考え、安全と思われる数値を百分の一
   以下の分量にしました。
   
   しかし、新たな課題が浮かび上がりました。
   過酸化水素水は、さらさらした液体のため、すぐに患部の外に流れ出てしまいます。
   効果が長続きしない上、痛みが患部の周りに広がってしまうのです。
   この二つの欠点を同時に解消してくれたのが、化粧品等に使われるヒアルロン酸でした。
   粘り気のあるヒアルロン酸を混ぜることで、過酸化水素水は長く癌の周りに留まり、
   効果が長く続き、痛みも広がりません。

   審査が上がってから10年あまり、こうして直接癌注射をする世界で初めての放射線
   増感剤が開発されたのです。

   実際に治療に使えるようになったのは、おととし10月、大学医学部に設けられた
   倫理委員会で、実際に増感剤は安全性が確認され、使用の許可が認定されたのです。