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                                     California as I saw  

                                                         投稿者:Steve Todaメール    投稿日:2016年 7月 2日(土)    


   カルフォルニア見たまま(1)

 ここカリフォルニアにやってきて気がついたら44年、とうとうアメリカ市民になってしまいました。 子供二人は成人して
孫も出来て、さらに近々もう二人生まれることになっています。 そう、息子の所に双子が生まれる予定です。

 自分ではこうなることは当初考えておらずいつかは日本に戻るつもりでした。  それがずっと住み続け、
土地の人になるとは。

 それだけアメリカは住み心地が良かったと言えます。

 このたび、ここでの生活を振り返ってアメリカという国が私の目にどう映ったかを書き留めてみたらと思いたちました。

 これはあくまで私個人に見えたものであり、私自身が感じたことを書いたものでいわば私が勝手に書いたもので
あることを念頭に入れて読んで頂ければ幸いです。

 ではこの国にやってきた最初の日からスタートすることにしましょう。

 1972年4月30日。  飛行機はサンフランシスコに接近していた。 ”当機はまもなくサンフランシスコ国際空港に
着陸します” というアナウンスで窓から下を見ると広い河の様なものが見える。 あとで分かったがそれは河ではなく
サンフランシスコ・ベイ(湾)であった。 橋が幾つかかかっている。 サンフランシスコは近くのバークレーや
シリコン・バレーを含めてサンフランシスコ・ベイエリアと呼ばれているのはこのベイがあるためである。

 眼下には 住宅地が広がっているがその中に青い点がポツポツ見える。  しばらくして ”プール” だと気がついた。 
丁度シリコン・バレーあたりを飛んでいたが何軒かの家にはプールがある。

 まもなく着陸して生まれて初めてアメリカの地におりたつ。

 イミグレーション(入国審査)の窓口へ。 審査官はにこやかに ”グッド・モーニング” と言い、簡単に手続きが終わる。 
日本のお役人の様に仏頂面ではなくにっこりしていてホッとする。   税関は申告するものもないのでこれも通過。

 ドアを押して外へ出たらいきなり野外。 曇っていて肌寒い感じ。  これがサンフランシスコの典型的気候で午前中は
霧が上空にあって4月でも肌寒い。

 当時の国際線ターミナルは入国審査と税関を過ぎたらいきなり建物の外だった。   ただし、その後
サンフランシスコ空港には新しい国際線ターミナルが出来て日本の空港の様に壁の間から乗客がホールに
出て来るようになった。

 三人の駐在員が出迎えに来ていて車に向かう。  すぐにフリーウェイにのってどんどん走る。 制限速度が70マイル
だから110キロを超える。 運転しているのが車線を変えるとき後ろを振り返る。 これは私もするようになったが、
こちらでのフリーウェイでの運転のしかた。 ミラーではなく自分の目で確かめろと教えられる。 運転のしかたも
ここでは日本と異なる。

 しばらくしてフリーウェイを出て町に入る。 まわりは住宅地で家々は白っぽいかなり大きなものが多い。 
商店街に入るとカラフルで色んな形の建物が並んでいる、例えば三角屋根もある。 看板も色とりどりで日本で
見るものとは違う。  無論全部英語。  あとで気づいたが中国語やベトナム語などもたまにある。  
並木のある通りも多いし緑が多い。

 時間は昼時に近くなったのでランチに行く。  色んな店のあるキャフェテリアでハンバーグやサンドイッチや
チャイニーズやメキシカンなどが並んでいる。  皆がサンドイッチ屋に行くのでそこへついていく。  
アメリカで食べる最初の食事である。

 メニューがあるが一体何があるのか分からないから先輩の井上さんの注文したものと同じものにするしかない。
メニューが分からないのは英語が分からないのではなく料理の中身が分からないのだ。 サンドイッチといえば
日本ではハムとかエッグとかと思うがここでは何十種類もある。 それはまず挟むパンが何種類かあり、
中身も10種類以上あり、あとさらに付け加えるものも何種類かありこれらを組み合わせると物凄い種類の
サンドイッチがある。

 それで、自分では選べないので先輩のオーダーしたものと同じものにするしかなかった。 出てきたものは
丸いフレンチ・ブレッドにロースト・ビーフを挟んだもの。 なにも他にはついていない。 かみついてみたら
余り味はないしパンはかたいのでかみ切るのに大変だし、おいしいとは全く思えない。 アメリカでは
食事はあまりおいしくないと聞いていたのでこれは聞きしに勝るまずさだなあと思い、正直これから
アメリカでの食べ物はひどいものかと思った。

 あとで分かったのだが、この食べ方は間違いで、美味しくなかったのはサンドイッチが不味かった訳では
なかったようだ。 実はここにもおいしいものは沢山ある。  ロースト・ビーフはかなり大きな肉を丸焼きにしたもの
なので塩気は全くといってない。  それをパンに挟んで食べたら全く味がしない。 普通は少なくとも塩と胡椒を
つけて食べるもの。  私はマヨネーズと辛子(洋辛子)をつけて食べる。 辛子の代わりにホース・ラデイッシュを
つけても美味しい。  フレンチ・デイップというサンドイッチはパンにロースト・ビーフを挟んでそれをビーフの
肉汁につけて食べる私の好物のひとつだ。

 ここでの最初の食事は不味いものだった。  しかし、それはちゃんとした食べ方をしなかった為であった。 
このあと色々アメリカでの食べ物との出会いが出て来る。

 つづく