California as I saw 投稿者:Steve Toda 投稿日:2016年11月 1日(火) しばらく旅行中でしたので休んでいましたが、旅行から戻りましたので再開します。 カリフォルニア見たまま(14) 次にこの国で日本とは非常に異なる医療・病院システムについて書いてみましょう。 ここでの病院・医療システムは日本のものとは異なり、大変複雑なものであり、かつ どんどん変化していて紹介するのが難しいものです。 ですから、ここでは私が見聞きした 範囲での医療システムや病院の実体を報告してみます。 病院の種類としては 国の経営になるものとしてベテランズ・ホスピタルと呼ばれる 退役軍人の為の病院があります。 あとは市立や郡の病院ですから公立とでも呼ぶので しょうか ノン・プロフィットと呼ばれている非営利の病院が大部分です。そして営利目的の 病院で保険会社が経営するものや大学の医学部が経営する大学病院もあります。 私が驚いたのは ここで手術を受けたとき執刀医は病院に勤務している医者ではなく、 外から外科医がやってきて手術をしました。 病院は建物、諸設備、看護婦、事務処理等を 提供するだけです。 むろん、しょっちゅう手術をしていますから、看護師とか麻酔医とか 専門医とはチームを作っており、執刀医は病院の中にいることは多いのですが、病院に 勤務してはいないのです。 手術後に請求書がきて、病院代、医者代、投与された薬品代 とかに分かれていてびっくりしました。 このような病院ばかりではなく、保険会社経営の病院や大学病院では内科、外科、 産婦人科さらに他の専門医や薬剤部も含めたすべてを揃えて病院内ですべての医療を 行う所も出てきています。 それから、ここで医者になるには普通の4年生大学を出てからさらに4年の医科大学を 出てさらにそれから4年のインターン実習を受けてやっと一人前の医者になります。 即ち、 高校を出てから12年経たないと一人前の医者にはなれません。 人々の健康管理はプライマリー・フィジシャンと呼ばれる内科医によって行われます。 日本で言うかかりつけの医者です。 その医者は我々患者が近所のクリニック、即ち 診療所の中の医者を選んで決めます。 要するに自分でかかりつけ医者を探してそこへ 定期的に顔を出し、色々の定期検査をしたり体調が悪くなったときにそこへでかけていきます。 そして検査の結果手術が必要ということが判明すればその医者が外科医を紹介して 入院となります。 そして、この国の医療に関して重大な部分を占めているのが保険会社です。 65歳以上に なるとメデイケアーという国の保険を使うことが出来ます。しかし、それ以外はここでの医療は 民間の保険を使うことになります。 そして、その民間保険は保険料がかなり高く、その結果 保険を買うことの出来ない人がいて、国民皆保険にはなっていません。 昨年からオバマ大統領が 新しい保険を出して皆保険にしようと試みていますが、色々問題があり、どんどん広がってはおらず、 今でも16%ほどの国民が保険のない状態です。 前から言われていたことですが世界一の 経済大国として恥ずかしいことだと私は思います。 こうなった理由は複雑で分かりにくいのですが、私が感じたのはその民間保険会社が沢山あり、 業界全体が強大になり国家レベルでの健康保険を作るのを阻止してきたことが一つの原因では ないかと思っています。 健康保険の総額は物凄い数字になりますので国の政策を左右する程になり、 実際に大統領ですら国レベルの保険を作ることに成功はしていないののが実状ではないかと思います。 こう書くとこの国では病気になったら大変なことになると思われるかもしれませんが、私自身に関しては 問題はありませんでした。 ほとんどの国民に関して私と同じだと思いますが、公の機関とか一定規模の 民間企業で働く人は雇用主が従業員の為に健康保険の契約をしており、保険金の半分もしくはそれ以上を 補助してくれて、その民間保険会社の医療保険を使用します。 毎月100ドル程の保険料を支払い、 治療を受けたときは20%程の負担で済みます。これは日本の医療でも行われていることのようですが。 さらに、手術を受けたら100%保険が払ってくれます。 保険を持っていない16%の人はどうするか、病院はそういう人も治療します。 そして、その療養費は 結局我々保険を買っている残りの人々から分散して支払われています。 よく聞かれることですが、アメリカで病院に行ったら言葉でこまるでしょうと。 確かに、医学用語は ラテン語が語源のものも多く我々には病気や薬の名前の英語が難しく、病状を伝えるにもどんなに痛いのか、 どう表現するか最初は難しいことがありましたがだんだん分かるようになりました。 ここでは移民が多いので 医者も例えば痛みの度合いは数字で1から10でいえばどれ?と聞いてくれます。 それと、娘が医者に なりましたので専門用語で分からないものは聞いて色々勉強になりました。 私の入院経験としては悪性ポリープが見つかったので、大腸の一部を切り取って繋ぐ手術を受けたことが あります。その時は入退院を3回繰り返し延べ29日も入院しましたが完治しました。 (幸い癌ではありませんでした) 何人もの看護師が入れ替わり立ち代わりやってきて、体温を測ったり、点滴をチェックしたり、何か 欲しいものはないかとか聞いてくれます。 時々は栄養士のドクターがやってきて食べ物は美味しいか ちゃんと食べられるかとかも聞いてくれたりもしました。 別の看護師が毎日何か欲しいものはないかと 聞くので寝たまま頭をシャンプーできないかと言ったら、OK といって頭の下におくプラステイックの器と お湯とシャンプーを持ってきて寝たままでさっさと洗ってくれました。 部屋は二人部屋でテレビが見れて、電話もベッドのそばにありました。 ナースコールのボタンもあります。 大手術だったのに痛みはそれ程でもなかったのは幸いでした。いやだったのは、注射を何十本も 打たれて恐怖症の様になったことと食事のまずいこと。 ひとつには抗生物質を投与されているので 食べ物の味が狂っていて、その上病人食でこちらの料理に塩味がついていないものなので食べられた ものではありませんでした。 あとで聞いたら日本人は家で料理を作ってもらって持ち込むとか。 子供が産まれた時は二回共出産に立ち会いました。日本でも今はそうなっているようですが、30年前は そうではなかったと思います。 なかには立ち会った父親が卒倒することがあると聞いていて看護師が たびたび 大丈夫かと聞いてくれましたが私は大丈夫でした。 二回目の息子のときはすっかり慣れて ドクターが母子の心臓の波形を写すスクリーンを動かしてくれというのではいはいと手伝いをしたくらいです。 お産準備の為のクラスがあり、二人で何回か出席しました。 出産の場面とか色んな説明や注意事項などを ビデオで見せてくれます。 注意事項のなかには破水した場合に備えて車のシートに古いシャワーカーテン (ビニール)を敷いて妊婦を病院に連れていくようにとか、父親用にサンドイッチと飲み物を持っていくようにと 言われて不思議な話しだなあと思ったものですが、サンドイッチは確かに必要なものでした。 というのが 入院したのは夜中でしたが産まれたのは翌日でその間キャフェテリアも閉まり、食べ物は何も病院内には ありません。別室で夜中にサンドイッチを食べました。 そして お産で家内が入院した時の最後の夜は病室で二人のためにキャンドルライト・デイナーを用意して くれました。 それも一輪の薔薇とワインがついている粋なデイナーでした。 ここでの医療は費用が余りに高額になり、その原因の一つは命にかかわることであるために新しい 医療機器や薬の開発に金に糸目をつけない傾向にあること。 もう一つの原因は医療費の支払いは 保険会社によって行われるので患者一人ひとりはどの位の費用がかかっているのかを実感していない ことにもあると思います。 知り合いで臓器移植を受けた人がいますが億単位の治療費がかかったと 言っていました。 ただし、その支払いは保険会社がしたのであって高いなあとは言っても自分が払った 訳ではないのです。 このため、最近は医療費の高騰を出来るだけ回避すべく努力をしているのも事実です。 例えば、ここでは入院日数を出来るだけ短くするようにしており、通常分娩では一晩入院するのが標準で 長く入院はしません。 それから、種々の検査も出来るだけ減らすように努力しています。 医療の技術レベルは非常に高く、知り合いの奥さんでクモ膜下出血で心肺停止になったのが、スタンフォードの 大学病院で手術に成功して、今はすっかり回復して元気にしている人がいます。 つづく