2style.net


                         地球温暖化−希土類の金属


                                             投稿者:風鈴  投稿日:2009年10月10日(土) 

 オバマ大統領はノーベル平和賞を受賞しても山積の問題解決の仕事が楽にはならないとは残念。
 11月に訪日予定とかです。
 ゆう吉くんの最近の振る舞いは全く不思議で、本人でないと説明出来ない理由があったとしても
 頭が痛い話ですね。

 これも頭痛の話しですが、日本ばかりでなく世界の工業国にとって大きな頭痛で、薬を飲んで一晩寝ても
 直りません。
 英語で rare earth metals/elements(希な地球の金属又は元素)で周期律にある17種類の元素のことで、
 金や銀より地殻に大量にあるのですが、単独の金属として分離して精錬するのが極めて難しいので希な金属と
 されています。

 先ず第一の頭痛は、この希な金属を抽出する精錬過程は、汚くて凄く労力がかかり分離するのに硫酸など
 使うので、複雑な環境保護設備が必要で、工場設備計画から生産まで10年かかるらしいのですが、これらの
希土金属は、ありとあらゆるハイテック・グリ−ン製品の生産や部品に欠かせない原料です。
 これもニューズウィークの記事から受け売りで http://www.newsweek.com/id/215544 を御覧下さい。

 第二の頭痛は、汚くて沢山の労力がかかり、放出ガスも多く地質汚染にもなるので、アメリカ、ロシア、
 ブラジルなどは、諦めてしまいました。片や中国は「汚い仕事をする労働力」が沢山で、共産主義で
 土地権利問題もなく、環境保護にも構わない方式で精錬技術を高め、現在は世界の希土金属の95%以上を
 生産で、日本が50%近く買っているとかです。
 下の写真は山西省にある希土金属生産工場の様子で、グラフは古い2000年度ですが生産国を示しています。

 これらの金属は名前さえ覚えられませんが、他の金属と合金でどういう製品に使われているか略して
上げてみましょう。
 こういう事も全然知らないので調べてみた、その纏めでしかありません。 
 ★テルビウム terbium −蛍光灯、パソコンの光磁気ディスク、光メモリ( 小さくて容量が上がった理由)
 ★ジスプロシウム  dysprosium −原子炉の制御、磁石、光メモリ、レーザー
 ★イットリウム yttrium −発光ダイオード、永久磁石、レーザー、カラーテレビ蛍光体、超伝導物質
 ★ツリウム thulium −通信用光ファイバー、医用画像処理
 ★ネオジム neodymium −ハードディスクや風力発電に欠かせない強力な永久磁石、超伝導体の材料、
 コンデンサ
 ★ユウロピウム europium −レーザー、カラーテレビ、発光ダイオード
 ★ランタン lanthanum − ハイブリッドや電気自動車のバッテリー、セラミックコンデンサ、水素吸蔵合金
 ★セリウム cerium −エンジン空燃比制御センサー、研磨剤、高強度アルミニウム合金、多方面に使用
 ロイター通信の最近の記事 http://www.reuters.com/article/newsOne/idUSTRE57U02B20090831で
 一番人気があるトヨタのプリウスは一台につきモーターが1キロの「ネオジム」をバッテリーが
 10−15キロの「ランタン」を  使っている、とありました。プリウス生産だけでも大量な希土金属の
 ネオジムとランタンが要ります。

 最近の一番大きい頭痛は、中国が独占の希土金属生産を縮小する事に決めたことです。
 ニューズウィークの記事では、国民意識が高まり愛国者達が「貴重な財産を安売りすべきでない」との
 運動をして、 政府としても空気・土地・河川の汚染からの病気が増えていて国民からの圧力もあり、
 生産を減らすことにしました。
 泡を食ったのはグリーン製品の生産を押していた日本を含めて世界の企業です。中国以外の生産国がなくて、
 中国にケチをつけると売ってくれないので、アメリカ・日本を含め多くの国が中国へ放出ガスの制限も
 要求出来ません。
 日本は長い間アメリカ様々でしたがケチはつけられました。今度は中国様々でケチつけると、
 お膳も出て来ません。

 トヨタなど「汚染ガス放出なんかどうでも良いから、ネオジムとランタンを大量売ってくれ」との
 心境でしょう。
 東芝が消費電力が少ない発光ダイオードを使った電球生産へ数百億円の設備投資をすると決めたとかですが、
 それにも希土金属の「イットリウム」と「ユウロピウム」が欠けなくて、中国の生産減少は多くの会社にとり
 大問題です。

 皮肉なのは、高性能ハイブリッド、電気自動車、ガス燃焼制御センサー、光メモリ、蛍光灯、風力発電、
 発光ダイオードなどのグリーン製品を生産するには、現状では汚染ガス放出が伴う希土金属の精錬過程が
あることです。

 アメリカ、オーストラリア、カナダで希土金属生産を計画中とかですが、10年くらいの時間がかかる様子で、
 その間に日本政府・企業が如何に希土金属を確保するか、はガス放出25%削減よりもっと切迫した
 問題でしょう。
 直嶋経済産業大臣が中国訪問で、今後の希土金属の供給を要請した、との記事を今日偶然に見ました。