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                       地球温暖化−再生可能エネルギー(3)


                                            投稿者:風鈴  投稿日:2009年11月 5日(木)
  	

 Q1 の「鯉」の対語は「鯨」でないかと思えますが、こじつけ過ぎで、この魚は「鮲」と「鮴」になり、
 伏せてお休みします。

 昨日の記事に「CO2削減投資へ国が支援。地球温暖化対策に積極的に取り組んだ企業へ環境省から
 認定を受けると、融資金のうち最大3%の金利を国が負担し、電炉メーカー『東京製鉄』と運送の
『佐川急便グループ』に適用された」とありました。全く失望です!政府が「指導する」のではなく、
 民間に「何か良い案があったら援助します」の態度では、25%削減は夢の話。もっとも、
 これは今年7月に導入なので、未だ前政府の形見で新政府の案ではありません。

 片や、政令指定都市の教育委員会が、公立学校で「知識や資質に問題がある」教師の指導力不足の
 認定とかですが、文部省はむしろ「内閣の指導力」を問い、ついでに議員全員を指導力テストする
 必要があるのでは?
 鳩山総理の政治献金問題より、もっと大切な国民の為になる、予算の詳細の質疑と議論の方が数倍
 大切なはずで、野党自民党にも指導力の教育が必要です。などと指導しなくて良い人は言いたい放題
 文句ばかりの八つ当たりです。

 話しが飛びますが、どうして「25%削減」の公約が出てきたか、御存知の方いらっしゃいますか。
 何らかの理論と信念、それに具体策に基ずかないと「25%」など約束出来るわけがありません。
 ヨーロッパは2020年まで CO2放出20%削減、再生エネルギー20%へめがけて、すでに政府と
 企業が組織的に取り組んでます。
 選挙の公約前に何らかの計画、又は「鳩山イニシアチブ」の骨組みがあったはずでしょうが、
 具体策が未だ出て来ません。

 政治はともかく、再生可能エネルギーに戻り、前回に「雨に任せ、おてんと様に任せ、そして風任せ」
 と全部自然任せでしたが、「雨にも負けず 風にも負けず オテント様にも負けず」とは先見の明ある
 御先祖様の再生可能エネルギーへの暗示でした。

 下の最初のグラフは日本で何を使い電力発電しているか示しています。
 化石燃料(石油・石炭)の火力発電が圧倒的に多く、これを減らさない限り25%削減は不可能です。
 次が原子力発電で1970年代のオイルショック後に、替わりの発電源が痛感されて原子力発電が
 増えた様子です。
 再生可能エネルギーの水力発電とその他は極少なく、ソラーパネルが増えてますが未だ数に
 入らないと言えるでしょう。

 この前のREN21の報告で気ずいたのは、日本は再生可能エネルギーへの投資が少なく、特に風力発電が
 弱いことです。
 平均風速6m/秒以上が平均してる北海道・青森・秋田などの海岸部、沖縄とかで、440基以上あるとか
 ですが少なすぎます。
 世界の風力発電は最近年に30%の割で増えていて、現在100ギガワット発電の能力があり、
 下二番目のグラフの左は世界の風力発電の増加、右の棒グラフは世界で風力発電が多い10ヶ国を
 示しています。
 
 このグラフはREN21報告からの切り抜きで見にくいのでますが、棒グラフの青い部分は2007年
 までにあった発電能力で、 橙色の部は2008年に加えられた容量です。
 一番の国はアメリカ、次にドイツ、スペイン、中国、インド、イタリー、フランス、イギリス、
 デンマーク、ポルトガルの順で、日本は13位で近年は全く増加していません。
 ヨーロッパが多いのはEU( ヨーロッパ連合)がお互いに規制しあい排気量取引をしているからかも
 しれませんが、そうでないアメリカと中国が昨年に風力発電へ大きな投資をしていて、
 後の5ヶ国も約30%投資増加です。

 他国を真似る必要はありませんが、一度設備を建てたら、このくらい採算が良く労力が要らない方法が
 他にあるでしょうか。
 保守と修理の仕事がありますが、水力と同じで燃料を買わなくていいのです。どうして日本には
 風力発電が少ないのでしょう。
 経済産業省(資源エネルギー庁)のデータ:発電方式別の発電コストの比較
 http://www.iae.or.jp/energyinfo/energydata/data1012.html を御覧下さい。
 発電単価(円/kWh)は1キロワット(10個の100ワット電球)を1時間使う分を発電する価格ですが、
 原子力発電が 一番安くて4.8−6.2円で風力は約2倍で10−14円。価格が安いから
 原子力発電を増加するのがエネルギー政策の主流になる、というのが政府の原子力発電の正当化かも
 しれません。

 但しこれは経済産業省のデータで、原子力発電に伴う膨大な経常費(overheads) が単価計算で
 無視されています。
 政府(官僚)の仕事、日本原子力委員会・研究開発機構、原子力安全・保安院、安全審議会、
 などの絶え間ない会議と検査、政治面では建設以前の交付金、発電・取り扱い・運送安全規制や法律設定、
 及び改正、加えて放射性廃棄物処理とか、このような費用が全く発電単価に入ってません。
 これらは国民にとって膨大な経常費で、もし原子力発電が無かったら、全く要らない、もしくは極少ない
 経費で済む、つまり原子力発電は国民にとり膨大な無駄がありますが、勿論政府としては、自分達の
 仕事を無駄だと認めたくないので、政府のデータは現状正当化もあり、鵜呑み出来るものではありません。

 風力発電の弱点は、風がいつも吹く訳でもないので、設備利用率が低いことです。しかし枯渇製燃料発電は常に
 燃料輸入しなければならなくて、燃焼したらそれで終わり、風力発電は風と施設とグリッド(給電網)が
 ある限り発電し続けます。
 設備利用率が低いので安定した発電力に欠けますが、現在は風車の数が少なく電力の融通性がないだけのことで、
 経済産業省によると設置条件として高圧送電線が近くに必要とかですが、これは設備投資と技術の問題で
 解決出来ます。

 最近出てきた風力発電の問題は、デンマーク、ドイツ、イギリスにある巨大風車が、飛行場の航空交通管制塔の
 レーダーのスクリーンに出てきて混乱を起こすと http://www.technologyreview.com/energy/23837/ に
 ありました。
 これはレーダーに映らない風車を開発したとの記事ですが、そうでなくても成田とか羽田の近くに建てる必要もなく、
 狭い国で飛行場が有りすぎるのが現状で、大問題とは言えないでしょう。

 風は何処でも吹くので、このくらい安くて豊かな天然資源はないのに、日本は高い値で中近東から原油を
 買い続けています。
 再生エネルギー増加へ思い切った切り替えが有るべきですが、日本の政治と産業体制が障害になっている
 としか思えません。
 その障害がないアメリカ、スペイン、中国、ドイツ、ブラジル等は猛烈に風力発電を増加中です。