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                        地球温暖化−再生可能エネルギー(6)


                                               投稿者:風鈴  投稿日:2009年11月12日(木)

 前回から smart energy management (賢いエネルギーの使い方)技術とか言って、訳が分らない事ばかり言ってるは、
 あまりスマートではありません。

 下の画像は電気が発電所から皆さんの家に、どんな経路を通って来るかの略図です。
 上の大きな赤丸が発電機で、青い線が送電線、茶色の箱が変圧器です。変圧器は電圧を下げて115ボルトにしたり、
 又は上げて50万ボルト(高圧送電線)にしたりで、効率が97−99%の素晴らしい機器です。
 美浜と奥美濃発電所は、割と近いので例にしただけで、他に何の意味もありません。

 効率の例になりますが、美浜発電所が給電地域のピークの消費電力が120万キロワットとします。
 それは総最高許容の75%くらいの良い状態ですが、消費電力はいつも変わり、深夜になり60キロワットに
 なったとします。原子力発電は一度始めたら、核分裂作用ですから、ある程度は遅くしたりは出来るようですが、 
 ガス湯沸し器みたいに直ぐ消したり付けたりは出来ません。
 そこで原子炉は働き続け、電力発電しても無駄なのです。電力は「料理」みたいで、料理が出来たら直ぐ食べるが
 良いのは似てますが、食べ残りを大量に冷蔵庫に入れて明日へ取っておくことが出来ないのです。

 もし美浜が火力発電でも同じようになります。60キロワットになったので、3号機だけで十分ですが、
 1号、2号機を完全に止めてしまうと、又システム全体を熱くするのにエネルギーを使うので、両機は待機状態で
 燃料を喰っても発電しません。
 車が渋滞でノロノロ運転でも燃料は喰うのと同じで、勿論消費者はこの無駄燃料代を払わせられます。

 この前のフォークスワゲンのミニ発電所が何万とグリッド(給電網)に入ると、電力が必要な分だけ発電して
 融通性があり、電力単位も小さいので無駄が少なくなります。大発電機の側に小さな赤丸がありますが、
 それがミニ発電所です。
 消費電力が60キロワットでは1ー2号機を止めてしまい、3号機だけ運転して、ミニ発電機を必要に応じて
 使えます。
 ファークスワゲンの現在目標は200万キロワット発電量で、原子力発電機2基に相応して、
 小さいガス・タービンは、直ぐ熱くなり発電できるので、インターネットで消費に応じて発電したり
 止めたり出来て燃料の無駄がありません。

 それを可能にするには、消費電力を測る機器と、ミニ発電所を制御するシステムが必要で、それが紫色の箱です。
 これがsmart energy managementの企画で、ミニ発電所は風力でも太陽発電でも構わなく、この無駄を省くだけで
 250万の家庭への電力が出て来る、とありました。

 この図の右に奥美濃発電所がありますが、これは日本の障害の例です。美浜は関西電力で奥美濃は中部電力、
 非常時には相互間の買売協定があるでしょうが、通常は美浜の電力が余っていても、周波数も違い、
 朱色の矢印で示しているように、奥美濃地域の電力不足へ、美浜から送電することはありません。
 それは技術の問題でなく、各電力会社は独立企業なので、効率が悪くても中部電力が奥美濃へ補給します。
 電力会社を小帝国にした政治と組織の問題で、国民が要求して、そこで政府が動かないと改正出来ません。

 電力会社組織は何処の国も同じようで、電源開発も民営化されましたが、元来は政府資金の特殊会社だっただけに、
 政府と繋がりも強く、日本原電も電源開発と他の9電力会社の資本ですから、昔の財閥よりひどいものです。
 他の産業は、例えば車でもトヨタ、ニッサン、ホンダ、マツダなど市場競争がありますが、電力には競争が
 全くありません。

 先日見た記事に「住宅などに設置された太陽光パネルで発電されて余りの電力を電力会社が買い取る義務にする
 制度を、経済産業省が来月から始める」とありました。「義務でなければならない」とは、現在の制度が
 誤っているのが分ります。
 今の技術で余った電力は貯金も出来なく「給電施設がある電力会社が買うのが合理的」なのに、電力会社は
 買ってやる」の態度で、会社の位置が国民個人より優先されています。ドイツでは買い取り制度がありますが、
 買い取り費用が電気料金に上乗されていて、それも誤っていて smart energy management の革命で今後如何に
 変わるか、興味ある点です。
 
 ドイツが開発中スマート・エネルギー技術が日本で使われると、例えば日本の多くの家屋で無視出来ない太陽発電が
 出来て、晴れている九州の余りの電力を、曇りで電気不足の東京へ送電出来る、というように効率が良いエネルギー
 生産も出来ます。
 米の需要が減って農家を補助金で賄うより、土地の一部を太陽発電に使い、農家の収入源を増やす副業ともなり、
 企業へは設備建設の新しい仕事、国民へはエネルギー源増加の利得もあり、自給自足能力も増して意義が 
 有るはずです。
 電力会社だけに任せるのでは、国民の自給自足への願望さえ座礁させているのが、現在の国策と言えるでしょう。

 日本では「省エネ」が強調されていて消費者が重荷を背負っていますが、膨大な無駄は電力産業界と組織にあります。
 いずれにしても消費者は、使ってない待機設備の安全性と保守への人件費は払っていて、設備効率はともかく、
 ドイツで無駄を減らす為にインターネットで需要に合わせて供給を即時に調整する技術が如何に大きい革命か
 分ります。

 このような供給と需要を即時に制御するシステムが必要でしょうか。今のままでは無駄が多く、燃料費が上がる一方で
 エネルギー価格が高くなり、生産国としてヨーロッパ、アメリカ、それに途上国とも競争出来なくなるので、
 不可欠と言えます。