地球温暖化−コペンハーゲンの燻り(1) 投稿者:風鈴 投稿日:2010年 1月10日(日) 政治家の言葉 COP15 に192ヶ国から1万5千人の代表者が集まり11日間の会議で、果たして何の成果が あったのでしょうか。 会議が終わってから、沢山の人が違った立場から色々な意見を述べてますが、 可笑しいのは『地球温暖化に有効な対策決議は何一つとして無かった』のです。 国家代表ばかりでなく報道陣に加え反対・抗議団体も集まり、4万人以上が10日間以上 過ごしたので、一番の恩恵を受けたのは航空会社とコペンハーゲン観光業者で、この無益な会議を 毎年喜んで歓迎するでしょう。この代表が集まっただけで、航空機と車の燃料燃やし、抗議団体も 大騒ぎしてCO2放出増加に貢献しました。 暫くたった今、皆がどういう事を言っていたか振り返ってみます。 成果があったと言ってるのは、参加した少数の政治家ばかりとは当然のことですが。 オバマ大統領は「過去に無かった同意を得る事が出来た」との自賛ですが、彼がやったことには、 称賛して良い面もあります。 クリントン長官が前日に来るまで、開発国と途上国間の提案と反論ばかりで、何の方向も同意も 出そうにありませんでした。 110国以上の首相や大統領は、協定に署名する為に最終日に来て、会議は夕方6時までに全てを 終える予定だったとかです。 オバマ大統領が来ても何も署名するものなし、そこでアメリカ代表の助言を受け、障害になっている主要国: 中国、インド、ブラジル、南アフリカ代表と、次々と14時間ぶっとうしの会議。第一問題のアメリカ国旗を 担いでいるので、それも可能だったのでしょうが、問題源へ直面して話すとは、やはり「やる気」がないと 出来なく、それは称賛出来ます。 夕方6時に予定だった閉会の記者会見がキャンセルされ、その頃に中国と交渉していたらしく、それから 5ヶ国合同会議、その会議をイギリスBBCは「どこか分らない部屋で5ヶ国がコソコソと会議をしていた」 との報道は可笑しくなりました。 その後に、他の「多分同意するだろう」の25ヶ国の主要国に同意を求める会議となったようです。 主要25ヶ国は「全然不十分で同意できない、しかしアメリカ、中国、インドが始めて何らかの制限に参加した、 法的に束縛ある合意でなく、一応良いとして記録しておきましょう、take note of」となったのは深夜過ぎで、 それから全部の国へ発表したようで、一抹の法的な合意とかがあったのでもありません。 それを「留意」というのかも、さっぱり分りません。 オバマ大統領の発言「理想とは程遠いが、中国とインドと何かの合意がなければならなかった」は本音でしょう。 中国の楊外務大臣が "Copenhagen is not a destination but a new beginning" 「コペンハーゲンは目的地でなく、新しい出発点だ」と言ったと報道でした。他の国々は京都定義を取り替える 最終的な協定に合意する予定の会議だったのですが、結果的には中国が望んでいたようになりました。 小沢環境大臣が「アメリカや中国などが入った新たな枠組みと、発展途上国への支援の道筋をつけることが出来た 極めて重要な一歩だ」とかで会議の成果を強調とかの報道でしたが、勿論政治家の lip service でしかありません。 新米大臣だから当然でしょうが、この会議で日本の存在は影は薄くて「1兆3000億を出す」と言っただけで、 「金だすから何をしなさい!」とか言えた立場でしたが、その腰も日本代表としての意見も無く寂しいものです。 会議2−3日後にイギリスのミリバンド外務相が「中国がこの会議をハイジャックした」と不満を表現したら、 中国外務省の姜瑜報道官が「英国は開発国として責任逃れで、これは政治的企みでしかない」とは、典型的な 中国の反応です。 中国としては、アメリカと一緒に自国に都合が良いような方向になってるので、アメリカとの路線に 邪魔されたくありません。 ドイツのメルケル首相は「この会議からもっと違った結果を予期していた。中国は全然妥協なく、合意の障害に なった国の一つだ。世界は過渡期にあり、我々は自信満々の中国を経験した。これから進歩があるように 努力しなければならない」とかで、彼女はドイツで環境首相と呼ばれていて、何らかの合意を成立しようと 熱意一杯だっただけに大失望だったでしょう。 フランスのサルコジ大統領は「この文書は完全でない、しかしこれが無いと重要な中国とインドは全く何の 契約もない、京都定義の参加国でないアメリカも契約がない、だからこの文書は意義がある」とのことです。 多くの途上国は、この交渉と30ヶ国の仮合意に参加してなく、ヴェネゼラのチャヴェズ大統領はカンカンに怒り、 他のラテン・アメリカと一緒に「大きい豊かな資本主義国家が地球の気候を崩壊している」と資本主義の 批判となりました。 この結末を非難すべきであったのに、喜び一杯の潘国連事務局長は「来年に法的束縛がある協定を作らなければ ならない」と言って、ヨーロッパ人にはこの局長の評判は「訳が分らない」「自主性がない」「指導力がない」 とかで評判が良くありません。 アジアから2番目の国連事務局長ですが、外交官上がりでそうなのか、自己信念が無いのでは尊敬されないでしょう。 http://www.spiegel.de/international/world/0,1518,666138,00.html 下は Speigel の写真からコピーで、アメリカ、中国、インド、ブラジル、南アフリカの5ヶ国会議の様子で、 沢山のカメラマンが取り巻いて撮った写真ではなく、極少数のカメラマンが許可されたようです。