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                         地球温暖化−コペンハーゲンの燻り(4)


                                                     投稿者:風鈴  投稿日:2010年 1月15日(金)
  複雑すぎる機構と課題

 国連のもとに UNFCCC、気候変動枠組条約の設立は1992年の春で、リオデジャネイロで152ヶ国が参加署名し、
 1995年にCOP1が開かれ調査が始まり、1997年のCOP3で京都定義書が出来ました。
 気候変動サミット、COPが最終決議機関ですが、その下に科学技術委員会(SBSTA)と執行委員会(SBI)もあり、
 会議をする度に委員会、課題、その後の会議が増えて、http://unfccc.int/2860.php を見ると如何に組織が
 大きくて課題が多くなり複雑になっているか分ります。

 これまでに何万人以上の国家代表、行政官、専門家達の会議が開かれ、どんなに多くの決議事項があったか
 分りません。
 強引に無理して作成された京都定義書から12年以上たちましたが、ガス放出量は減っていなく、数知れない提案、
 研究会や会議で決められた事柄も、コペンハーゲンで起こったように、自国利益に固守する2−3の国の妥協が
 ないと何の合意も協定もなく、無数の会議も全く意味が無いとなります。国連で世界全部の国が満足する協定は
 理想ですが、その理想に捕わられて、事実上何の進歩も無いのが実状です。

 "What did the Copenhagen climate summit achieve?" 「コペンハーゲン会議は何を成し遂げたか」と
 イギリスBBCの評論が http://news.bbc.co.uk/2/hi/science/nature/8424522.stm にあります。

 ドイツの哲学者ニーチェの「秩序は混乱から生まれる」を引用してますが、この会議は大混乱だったと
 言えるでしょう。
 この評論は非難ばかりでなく、この会議が「変えたこと」と「変えなかったこと」を広義的に纏めてますが、
 「変えなかったこと」が今後の障害でもあるので要約してみますと、
 *政治的意思、経済の方向、社会の圧力を全部合わせても、多くの国の統治権侵害への心配を克服出来なかった。
  多くの国は自国へだけ報告したい、が最終結論に映っている。皆が国際協力はするが、法で束縛されたくない。
  (これは中国が長年に渡り妥協なく固守していました)
 *最初の草案にあった、2050年までに50%削減するとか、地球全体の目標が無い。
  これから発表されるかもしれないが、約束された最低の範囲で、より多いガス放出を続行することになる。
 *書類の透明度は、地球上の国々が何をしているか、初めて世界が検査できるので大切であるが、
  開発国がこの費用を払わないと、途上国は実務を証明する方法を作成しない。
 *記述された要素の具体案が全く乏しい(日本も組織的な具体案が皆無に近いとは言うまでもありません)

 これだけでも世界192ヶ国が同意出来る協定の不可能さが見えます。
 小沢環境相が12月25日に「主要国で構成する政策提案の組織を設けるとか、COPの改革を国連に提案したい」
 と報道されてますが、これはヨーロッパの首相が集まり、皆が一緒に何度も試した方式で、誰も耳を傾けない
 でしょう。
 残念ながら環境相は何が問題か分ってはいても、実があること言えなくて報道陣に何かのニュースを上げている
 だけみたいです。
 国連会議とか形式とかも問題ですが、上記のように多くの国にとって「自国の目先の利益と恩恵」や
 「現政府の統治権」が「2050年に気温が4度上がる問題」より大切だから、制限されたくなく、特に
 「中国の妥協なし」の方針は崩せません。

 この会議がある数ヶ月前に「この会議が成功しない」と言っていた人は沢山ですが、その2−3を上げてみますと、
 9月23日に Chances of Climate Success in Copenhagen 'Headed Toward Zero'
 「コペンハーゲンの気候会議成功のチャンスは零に向かっている」と
 http://www.spiegel.de/international/world/0,1518,650809,00.html にありました。
 これは9月にニューヨークで首脳会議が開かれた時、オバマ大統領と潘首相の演説の印象から書かれた記事で、
 ニューヨークでのUN気候会議は一歩前進した。しかし、この前進はガス放出削減とは何の関係もなく
 「コペンハーゲンを忘れてしまえ!」という簡単な政治的認識である。
 とあり、アメリカ議会は医療制度改革に没頭で、オバマ大統領には何の具体案もなく、相手の潘首相も
 交渉が出来るだけ十分な用意が出来てない、などと2−3以上のドイツの新聞記事を引用しています。

 9月16日に www.nature.com にカリフォルニア大学教授 David Victor の意見、”Plan B for Copenhagen、
 コペンハーゲンへのプランB”が  http://www.nature.com/nature/journal/v461/n7262/full/461342a.html にあり
 現在 UN がやってるのが Plan A で Plan B (代わりの計画)を提案し、最初にこのような要点を上げています。

 #1 どんなに努力しても12月のコペンハーゲンで有効な協定は出来ない
 #2 もっと小さい柔軟なアプローチが行き詰まりを避ける
 #3 コペンハーゲンに望める最善は、一番影響している国にとって、望み高き計画への出発点になる

 UNのPlan A は京都協定を取り替える新しい野望的な協定であるが、多くは大失敗の兆候を示している。
 交渉は実際的でなく、他の如何なる国際協定より複雑な課題が絡みあっている。

 が理由でしたが、どうやら Victor教授が言っていたように終わり、#1はその通り、#2はオバマ大統領が取った
 アプローチ、#3は中国が言っていたのと同じです。この「プランB」には説明が沢山あるので次回に続けましょう。

 これは主要25ヶ国の会議後、30国の仮の合意書が他の国々へ発表された時の様子ですが、
 カメラマンまで中国に焦点合わせて、他国はボヤケとはコペンハーゲン会議を象徴しているみたいで可笑しくなります