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                         地球温暖化−コペンハーゲンの燻り(5)
 

                                                  投稿者:風鈴  投稿日:2010年 1月17日(日)


  これは前回のカリフォルニア大学教授 David Victor の意見、Plan B for Copenhagen、
  コペンハーゲンへのプランB, 
  http://www.nature.com/nature/journal/v461/n7262/full/461342a.html の続きです。
  このサイトは、最初のある期間は記事が全部無料ですが、暫くすると有料になる、と最近分りました。
  最初読んで気に入って、全文をダウンロードしたので、幸運にもコピーがあり、アメリカ人の観点になりますが、
  同意できる意見が沢山で要点を箇条書きにまとめてみます。

  京都会議が、事実上ガス放出削減にならなかったのを参考にして、
  *一番の欠陥は無理な計画にある。コペンハーゲンは課題が多すぎて2007年に作成された早急な時間表は
  実際的でない。
  *競争相手が無制限でガス放出している限り、どの国も高い費用が要るガス放出規制の犠牲者になりたくない。
  *京都定義の経験が、地球温暖化の外交は急ぐべきでない、と言っている。首を折りそうなペースで決められた
  無理な合意にアメリカとカナダは脱会し、ロシアには楽な制限が課されたので、何の努力もしなくて良かった。
   (注:カナダは数年後に参加、ロシアと東ヨーロッパのガス放出削減目標データは格別に良過ぎます)
  *重要な課題は、既に総放出の半分を占めて、将来ほとんどの増加を放出をする途上国が参加することにある。
  *京都で急速にClean Development Mechanism (CDM) を作成したが、政治的重荷となった。
   (注:CDMは後で説明します)
  *CDMは途上国へ放出ガスを少なくする技術を奨励する意図だったが、厳しい規制と監督が無くては意味がない。
  *時間がなくて急いで捻出したCDMは、真剣に遂行できる管理組織がなく、ガス放出削減にならなかった。
  *国際協定には驚くくらい皆が従う。そこで代表者は受け入れ易い協定を作成し、事実上効果がなかった。
  *コペンハーゲン代表者は国々の合意を皆の努力が偉大だったようにまとめるが、温暖化にはひどいニュース
  でしかない。

  そこでプランBの提案になります。
  *コペンハーゲンでの成功は、合意出来ないと即時に害になる2−3の課題に絞ることだ。
  *予備の合意、例えば京都の目標遂行時間を延期するとか、もう既にある合意を強化する方が実行し易い。
  *実際面に集中すれば2年以内に良い結果をもたらす。主要国だけで交渉し皆が同様に実行できることに
  合意する。
  *全部の国が参加でなく、世界で1ダースの国が温暖化の原因なので、それらの国だけで削減の交渉をする。

  というように、彼の主張は『192ヶ国で多くの課題の合意は先ず不可能だから、ガス放出主要国だけで、
  課題を数年間で実行出来そうな2−3項目に合意にすべきで、法的に束縛ある協定も必要ではない』
  とのことです。
  何処かの国が違反しても、法的に解決するのは国際裁判などで時間がかかり、国連も執行力がない、が理由で、
  オバマ大統領が今後に放出増加する国、中国、インド、ブラジル、南アフリカと交渉したのは、大統領の
  助言者達が、このような手段を薦めたしたのかしれません。

  ドイツ Speigel の記事で”Consequences of Copenhagen、コペンハーゲンの結末”、
  http://www.spiegel.de/international/world/0,1518,668419-2,00.html では
  「ヨーロッパは自分達の野望で負かされてしまった」とありますが、EUは一番進歩しているので自分達の理想的な
  大計画を他国に押し付けようとしたので合意にならなかった、とも言ってます。

  イギリスBBCの記事で”Why did Copenhagen fail to deliver a climate deal?、どうしてコペンハーゲンが
  気候対策をもたらせなかったか”が http://news.bbc.co.uk/2/hi/science/nature/8426835.stm にあり
  多角面から分析で、正しいと賛成出来る意見が沢山ありますが、これらには「どうしたら解決出来るのか」
  の解答が少なく、もしそれがあっても、皆の賛成は難しいので『国連なしで解決方法を再検討する会議』が
  必要でしょう。
  つまり国連で15年以上ガス削減をしようとしたのですが「全く効果が無い」という事実に直面すべき時期です。

  今年6−7月にドイツのボンで大臣クラス気候会議が開かれる予定で、それが11月の会議への下準備に
  なりそうですが、現在の形式を取っている限り、実際に地球温暖化に『効果がある協定』は出来ないようです。
  それは David Victor やデンマークのロムボーグ教授が言うように、
  #1 国連が中心になると全世界を入れて、理想的な課題が多すぎて、実行不可能な膨大な計画になる。
  #2 途上国代表者も面子があり、自国の要求を協定に入れたいので、協定も大きくて複雑で実際的でない。
  #3 2020年までの目標とか、10年先は長期間だと錯覚を起こし、即座に取るべき手段を取らない。

  #3の良い例はスペイン、カナダ、ポルトガル、ニュージーランド、オーストラリア、それに日本を含め、
  1997年の京都会議で、2012年までに放出ガスを減らすと約束したのに、減るどころか皆増えていて、
  アメリカの目標も、中国とインドの排出係数削減も十年先の目標では、増加一方になる可能性は
  十二分にあります。
  それより、2−3年毎に実行可能な目標で、2−3年毎にお互いの結果を検討するのが余程効果が
  あることでしょう。

  下の画像は世界の the Dirty Dozen 汚い1ダース、でCO2放出が多い12カ国は、
  中国、アメリカ、ヨーロッパ、ロシア、ブラジル、インド、日本、ドイツ、カナダ、イギリス、イタリア、
  オーストラリア(ドイツ、イギリス、イタリアはヨーロッパですが、放出が高いので別にしたようです)
  先ず、これらの国全部が3年間で3%放出削減したら、25%を2020年まで削減より、
  もっと大きな進歩になるはずです。