地球温暖化−排気量取引(2) 投稿者:風鈴 投稿日:2010年 1月22日(金) CDMの実態 前回に「現在の排気量取引は、中国政府の搾取を正当化している制度である」と述べましたが、 ドイツの大手電力会社のREWが中国でダム開発をしている記事 http://www.msnbc.msn.com/id/28777386// とか UNFCCC に登録されているCDM 事業とか見ると、そう言わざるを得ません。 中国の水力発電への投資が世界一だと以前のREN21報告にありましたが、このCDMが大きな理由と言えるでしょう。 ドイツのREWですが、自社の火力発電所からの放出ガスが減らせなくCERを買わなければならなかったのです。 そこで中国福建省の小溪でのダム開発になりましたが、沢山の課題を取り上げているので要点を箇条書きにしてみます。 ●政府は7500人に選択なしの強制立ち退きを命じ、その人達は僅かな補償金しか貰えなかった ●CER設定以前に、中国政府は1990年以来、年間にアメリカのフーバーダムの6倍に相応するダムを自力で 増加していた ●小溪のダム開発は2004年度、CER認可の2年前に始まり、いずれCDMがなくても開発されていたであろう ●2009年1月現在、763のダム開発が国連で認可されていて、毎月25平均の計画が加えられている ●小溪のダム開発にREWは800万ドル払い、その他37箇所のダム開発からガス放出クレジットを買う予定 ●REWがそれらのクレジットを買うと、ドイツで1600万トンのCO2ガスを合法的に放出できる ●REWが払う金は、事実上ヨーロッパの消費者が払っていることになる これだけでも如何に中国の水力発電所建設の規模が大きいか分り、日本で影の薄いエネルギー政策とは比較に なりません。 簡単に言えば、ヨーロッパの人達が中国のダム開発の資金を援助して、地元の大衆は強制立ち退きで困難に陥り、 中国政府と開発会社が宝くじが当たったみたいに儲け、大問題はREWが以前と変りなくCO2を放出を続け、 ダム建設に必要な鉄筋やセメントの製造工場は以前以上に大量生産でガス放出が増加し、 全く放出削減にはなってなく、アメリカが京都議定書に参加しなかった理由も理解出来ます。 何処でも放出されたCO2の一部は植物、主に木の吸収され光合成で酸素になりますが、残ったCO2は大気に広がり アメリカのコロラド・ボールダーにあるNOAA(National Oceanic and Atmospheric Administration)の科学者に よると、大気に入ると何も吸収する物もないので何千年と存在するとのことです。そこでガス放出を減らすのが 第一優先であるべきで、排気量取引してもガス放出が減ることもなく問題解決ではない、の意見も正しいのです。 このように中国はCERを濫用してますが、専門家の意見は分かれていて「では他に何の良い方法があるか?」と なるようです。 中国政府は「開発国は好きなようにガスを放出して豊かになったから、中国と他の途上国を援助するのが当然だ」 と主張ですが、CERからの恩恵は中国の国民が受けるでもなく、共産政府と幹部の懐を潤しているだけ、 が大きな問題です。 中国ばかりでなく世界中で4300以上の計画がCER認可を待っている、とありました。 下の世界の地図で青い色の国が最大CO2放出の国で、中国、アメリカ、ロシア、インド、その次に日本です。 五カ国で日本だけが京都議定書に同意し取引で海外援助を強いられてます。ロシアも参加国ですが、参加して貰う 為に楽な削減量だったので罰金を払う必要もありません。その罰金も自国の放出削減に使うべきで 「何か怪しい!」のですが、政府が外国に文句も言わないのは、国民が政府に何も問わないからでしょう。 国民が何も言わないのは、日本で払っている罰金や情報が広報されてないから、が大きな理由でしょう。 新聞の社説も国内の話題に集中されていて、このように多少調査が必要な国際課題となると、残念ながら海外報道は APとかロイターの記事の受け売りで、『日本の評判と印象が先立ち』になり、内容自体は貧弱だと言わなければなりません。 新聞も「皆が関心あるだろう、売れる記事」を書くのが使命で、疎遠そうな課題を避け、悪循環になってしまいます。