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                    地球温暖化−将来への対策(2)
 

                                            投稿者:風鈴  投稿日:2010年 2月 3日(水)

  	CCS - Carbon Capture and Storage(Sequestration), カーボンを捕らえ貯蔵する

 最初のグラフは http://en.wikipedia.org/wiki/World_energy_resources_and_consumption からで
 少し古いデータみたいですが、世界が何をエネルギー源に使っているかを示し、化石燃料(石油、石炭、天然ガス)
 が全体の85%以上、次いで原子力、バイオマス、水力で、後の太陽パネルなどは極僅かです。
 現在EU諸国が2020年までに再生可能エネルギーを20%以上にと努力してますが、世界全体では10%にも
 ならず、シェルの科学者が言うように、CCSは重要な手段の一つかもしれません。

 Sequestration は Storage と同じ意味ですが「隔離する」の意味があり、難しい言葉を好む人が使っている
 みたいで、込み入った難しい裁判の陪審員は日常生活から隔離されますが、そのような時も陪審員の sequestration 
 と言ってます。
 CCSはガスを大気に放出する前にCO2だけを集めて、深い地下の貯蔵地に貯留するのが現在の計画です。

 CO2を大気に放さない方法は、植物のように光合成などで他のガスに変換するか、ガスを貯蔵するかでしょうが、
 CCSは未だ実験段階みたいで、2−3の問題の一つは燃焼後のガスからCO2だけを取り出す費用が
 高すぎて未だ商業化していない、とアメリカのエネルギー省 Department of Energy (DoE) のサイト
 http://www.fossil.energy.gov/programs/sequestration/capture/ にありました。

 このDoEの記事で、CO2を抽出する過程の費用がCCS全体の費用の75%だということには驚きました。
 興味ある点は、石炭を使う発電所の煙突からのガスの10−12%がCO2で、天然ガスを使うコンバインドサイクル
 発電は3−6%で石炭発電の半分になり、以前に引用した下の棒グラフもコンバインドサイクル(複合)発電は
 半分になってます。
 現在ある石炭・石油の発電所全部を天然ガス、もしくはバイオ燃料を使うコンバインドサイクルに切り替えると、
 CO2削減と費用の面で一番の近道みたいです。

 CCS達成に現在色々なCO2を抽出する方法が研究中で、費用が高くて実用化されてませんが、
 もしその方法が完成されたとしても、未だ問題が残っています。
 #1 発電の効率が落ちる。
 例えば現在使われているMEA(monoethanolamine とかのアミンに吸収する方法)の装置を石炭使用の発電所に
 付けると、500メガワットの電力出力を40%以上%減らす、と
 http://www.sourcewatch.org/index.php?title=Carbon_Capture_and_Storage ありました。
 たとえもっと良い方法が開発されたとしても、余計にかかる費用はいずれ消費者が払うことになるでしょう。
 #2 CO2の運送と貯蔵の費用と安全性
 CO2ガスに圧力をかけて液体にして、石油や天然ガスみたいにパイプラインで貯蔵地まで送るのが運営には
 簡単ですが、高いパイプライン建設費も問題とは言え、それ以上にパイプラインと地下貯蔵地から、絶対に
 洩れがあってはならないのが重要条件です。石油や天然ガスの漏れは臭うので誰にも分るので、CO2にも
 臭いを混合しなければならないでしょう。

 1986年にアフリカ・カメルーンの火山噴火で出来た湖、二オス湖から大量のCO2放出で、25キロ以内に
 住んでいた1700以上の人と何千の牛が死亡しました。下の画像はグーグルの Degassing Lake Nyos からの
 コピーで、火山から放出された大量のCO2が地下数キロメートル以上の所に貯まっていたらしく、それが左の図に
 あるように地殻の亀裂が湖の底に繋がっていて、そこから大量のCO2が洩れたらしい、とかが数年間の調査から
 結論です。
 水が川のように流れていたら問題なかったとかですが、この湖はよどんでいたのでCO2飽和状態になり、
 地下に貯まっていたCO2は大気に放出され多くの人と牛が窒息死になったのです。後で湖の底からCO2を
 抜きましたが、その作業の様子が
 http://www.geo.arizona.edu/geo5xx/geos577/projects/kayzar/html/lake_nyos_disaster.html にあります。

 現在、原子力発電所で沢山の廃棄物を生産し、強烈な放射線廃棄物を30−50年後に地下に貯蔵する予定で、
 放射線廃棄物は動かないので十分に離れていれば安全ですが、液体CO2はそうはいきません。
 漏れ始めたら即時に気体になり無限に広がるので逃げられなくて、放射線廃棄物以上に危険でありえると
 言えるでしょう。

 私見になりますが、このように液体CO2を貯留する方法は『人間は自然を制御出来るという誤った観念』からの
 発案で、ロムボーグ教授が言うように「温暖化で起こる災害以上の災害を招いている」となり、人工密度が高い
 日本には、人間が住んでいない地域が狭いので『CCSは全然考慮に入れない』が賢明だと言います。
 そこでCCSはボツになりますが、大牟田で東芝のCO2を抽出する研究は、日本でのCCSには使わなくても、
 他の技術にも適用出来るので研究継続だと良いのですが。

 あちこちの国のCCSを調べていたら、スコットランド・エディンバラ大学が作成した世界地図で
 『何処にカーボン貯留があるか』と http://www.geos.ed.ac.uk/sccs/storage/storageSitesFree.html 
 にあります。
 日本で二ヶ所に計画されているマークがあり、小さい地図で分らないのですが、広島それに和歌山近辺に
 ついています。エディンバラ大学は情報の正確さは保証しないと言ってますが、何処から情報を得たので
 しょうか。
 ハイチより地震が多い日本で、大量の液体CO2を地下に貯留するとは常識はずれとしか言えません。