地球温暖化−将来への対策(5) 投稿者:風鈴 投稿日:2010年 2月 9日(火) A) スウェーデン 2 政府の計画は原子力と太陽光発電を増やすらしいのですが、ガス放出なしの電力発電をどんなに増やしても 一次エネルギー源の石油・石炭・天然ガスの全部を取り替えることは出来ません。 政府全体が「バイオマス・ニッポン総合戦略」とかで取り込んでいるとかですが、何時までに何%増やす 目標とか具体的な計画はなさそうで、果たして日本政府に少しでも『具体的な長期的エネルギー計画』が あるのでしょうか。 残念ながら、スウェーデンのような「陸上運輸の石油使用を40−50%減らす」とか聞いたことが ありません。 エタノール研究自体は日本でも進んでいて、スウェーデンは何も特に難しい技術を使ってもなくて、 日本と同様に天然資源が豊かでもない、ただ優秀なのは政治家が専門家と科学者と一緒に将来への洞察で 国民を説得し、具体的な計画を立て、それを実行していることで、その面でスウェーデンは多くの開発国 より数段優れています。 再びスウェーデン政府のサイト http://www.sweden.gov.se/sb/d/5745/a/19594 に改善された情況報告が あります。 *電力発電は化石燃料なし。約半分が水力で残りは原子力発電(ウラニュームは化石燃料に入れてないようです) *産業生産額は上がったが、1970年のは総一次エネルギーの70%が石油だったが、今は30%に下がった *再生可能エネルギーは1994年の22%から今日の28%になり、バイオ燃料使用がその主な理由 *風力発電が1994年に無視出来る程度から現在1テラ(兆)ワット・アワー(1ギガワットの1000倍) に増加、 *風力発電は現在1%にならないが2015年までに10倍にする目標 *ノルディックの国は早く電力自由化したが、現在は効率上昇に送電網と技術を改良中 *電力会社は、再生可能エネルギーから発電された電力を、Green Certificate で買わなければならない *地域暖房がスウェーデンの40%を占め1970年は主に石油だったが、現在は数%だけ (注:地域暖房は、1地域、区や町の建物をまとめ1つのボイラー、暖房機で暖める方法でマンハッタンと同じ) *地域暖房の62%以上がバイオ燃料使用 前回の地図でスウェーデンの再生可能エネルギーは40%以上でしたが、 この情報では「*再生可能エネルギーは1994年の22%から今日の28%になり」とあります。 これは再生可能エネルギーの定義、もしくは解釈の違い、例えば40%以上には原子力発電が含まれているとか、 又は情報の年か情報源が違うとと推測です。 これらを見ると何か一つやって成功しているのではありません。この記事の最後にこのような説明があります。 機関について: このエネルギー政策と達成報告は主に「スウェーデン・エネルギー機関、それにAffärsverket svenska kraftnät (Affärsverket Swedish Power Grid, アヴァルヴァ‐リケット〔発音ムリ〕 スウェーデン送電会社)で作成 されたが、住宅・建設計画委員会、消費省、電力安全委員会、システム刷新省、環境、農業研究と 空間計画協議会、スウェーデン研究委員会、それに市町村の行政委員からの援助があった。 多面に何処でも改善を目指している様子ですが、何がどのような政府機関か委員会か全く見当もつかなかったので スウェーデンの内閣構成を http://www.sweden.gov.se/sb/d/577 で調べてみました。 エネルギーは Ministry of Enterprise, Energy and Communications (企業、エネルギー、通信省)の管轄で、 この省が Swedish Energy Agency(スウェーデン・エネルギー機関)とも呼ばれていると分りました。 これは日本の経済産業省と同じみたいで、省内に部門が沢山ありますが、エネルギー庁みたいに省内で独立でなく、 それに政治と直接関係はない各部専門の R & D (研究開発)があるのは強みです。 課題から反れますが、スウェーデンの内閣には女性大臣が40%くらいで、エネルギー省の大臣も副大臣も 女性です。 女性だから選挙資金の問題がないと言うことではありませんが、能力ある人間が国の指導的立場に立たないと、 前回の総理のようにつまらない問題が多く、男女構わないのですが日本には未だその土壌も無いのが残念です。 日本はスウェーデンと比べ産業技術や能力で全然劣ってはいませんが、遅れているのは政治面だ、と言いましょう。 政治的な将来への長期的計画が無いので「行き当たりバッタリ政策」、外国で何か「成功してるような 技術や計画」を取り入れるので、いつも外国を追従し、今度は御付き合いで実際に効果が無い「排気量取引」 まで導入する始末です。 それ以前に解決手段、スウェーデンのようにバイオ燃料とか他の手段に金と注ぎ込む方がどれ程効果が あるでしょうか。 下のグラフはスウェーデンと日本の1980年から2006年までの原油消費を示しています。スウェーデンは過去 2−3年に著しく減っているはずでが、このグラフで一番大きな違いはスウェーデンがオイルショック後に 「石油から独立」を決意した一方、アメリカ、イギリス、日本は以前と同じように化石燃料依存に戻り、 依存度が減っていません。