地球温暖化−将来への対策(6) 投稿者:風鈴 投稿日:2010年 2月12日(金) B) バイオ燃料 1 IANGV(International Association for Natural Gas Vehicles の略、天然ガスで走る車の国際協会)の ニューズレター、 NGV Global (NGV グローバル)は少し古くなりますが、このような記事がありました。 ”Liquid BioGas Production Paves Road to Swedish Energy Independence” November 5, 2008 「液体バイオガスがスウェーデンのエネルギー独立への道を舗装している」 http://www.ngvglobal.com/liquid-biogas-production-paves-road-to-swedish-energy-independence-1105 Scandinavian GtS は液体バイオガス、 Liquid BioGas (LBG、液体バイオメタン) の公共用 ガス・スタンドをSundsvall市に建てると発表した。社長は『LBGは第2世のサステイナブル (sustainable、維持出来る)燃料で大量生産が始まれば、スウェーデンの将来のエネルギー供給も 可能になり、政治家は他のエネルギー源を探す必要もない』 とか社長だけに会社の宣伝も大きいのですが、感心出来るのは 「革新するのは、もう技術の問題でなく、意思の問題だ。政府にその意思があれば、我々は石油から独立 出来るし、多分世界で最初の石油なしの国になる。Sundsvall市は、この生産過程を見る為に国内と国際 から訪問者がある」というように決意を示しているのは、やはりバイキングの子孫みたいです。 天然ガスは液体のLNG (liquid natural gas)がありますが、メタンガスは液体、LBG (liquid biogas)が なかった、とは知りませんでした。それを、この会社がcryogenic (クライロジェニック)を使い低温摂氏 マイナス162度で液体にして生産後に貯蔵すると、6倍の量が運送出来て、近い将来イギリスにもLBM工場が 建設される、とのことです。 最近「バイオガソリンが西日本に拡大」とのニュースがありました。 今までは、ブラジルから輸入原料の受け入れ施設が横浜の製油所にしかなかったので、ガソリンスタンドは 首都圏に1000ヶ所くらいだったのが、新日本石油が和歌山に同じ施設を完成し、4月から「バイオガソリン」 を販売する、コスモ石油も関西に広げ、ジャパンエナジーも4月から茨城県でスタンドを100ヶ所くらいに 増やす計画。 これから言えることは 1 日本では指導すべき政治が民間より遅れている 2 燃料は輸入するものだという固定観念になってる、 3 バイオ・エネルギー政策ではスウェーデンから10年以上の遅れがある と言えるでしょうか。日本の多くの産業は他の開発国と比べて遅れていません。しかし何の産業にしろ 基盤であるエネルギーが不可欠で「政府のエネルギー政策が弱いので産業界も苦労が多い」が実状でしょう。 下の表は以前(昨年10月31日)に引用したREN21(Renewable Energy Policy Network for the 21 Century) http://www.ren21.net/pdf/RE_GSR_2009_update.pdf からで世界でバイオ燃料生産トップ15ヶ国を 示しています。一番のアメリカがトウモロコシから、次のブラジルが砂糖キビから大量生産で、他の国は 大したことなく、スウェーデンも少量の国であるだけに「石油無しでやる」の決意に感心します。 日本のバイオ燃料生産は皆無に近いのですが「やる気」があったら、トップ10になるのも困難では ありません。やはり「技術より意思」の問題と言えます。 このREN21のグラフから、どのような再生可能エネルギーが日本で可能か、以前に推測で、日本でエタノール 生産には広い面積が無いので経済性が疑問だと言ってましたが「石油や天然ガスでない液体燃料が必要」で、 他に何があるか、となると現在実用的な範囲では、どうしてもバイオ液体燃料(メタノール、メタンガス、 バイオディーゼル)になるようです。 バイオ燃料の利点は、特別な資源が必要でなく、何からでも何処でも生産できるので、自給自足の エネルギー源を増やす良い機会でもあり、2020年まで総一次エネルギーの10%がバイオ燃料の目標の 方が、具体策がないガス放出量を25%削減より、もっと有意義で可能性もある目標です。 今までバイオ燃料開発は、近視的に「石油を買った方が安い」と言い無視された分野ですが、 もう石油も天然ガスも安くなく、化石燃料生産国が要求する値段を払うばかりがエネルギー政策とは 言えません。 地球温暖化で、現在の人間社会はエネルギー源を化石燃料から他の燃料へ変わる過渡期にあり、 その変遷に早く反応して政策を調整するのが、将来の安定したエネルギー確保へ導くことでしょう。