地球温暖化−将来への対策(17) 投稿者:風鈴 投稿日:2010年 3月18日(木) C) ブラジルの電力発電 2 ブラジル国営会社Petrobrasが1月19日にエタノール燃料でタービンを動かす発電を始めたと http://www.ethanolproducer.com/article.jsp?article_id=6302 にありました。 場所はミナス・ジェライス州の南端にあるジュイス・デ・フォーラ市のpower generation park (発電所が集まった公園)。 ジュイス・デ・フォーラ市には重工業工場やハイテックの会社が多く、場所的にリオへ190キロ、 サンパウロへ490キロ、ブラジルで6番目に人口が高いミナス・ジェライス州の首都 ベロ・オリゾンテ、Belo Horizonteへ260キロの距離、国道BR040でつながる便利な所で、 下がジュイス・デ・フォーラ市の航空写真です。 ここにあるpower generation parkは沢山の発電機があるので、「発電公園」と言った方が適切かも しれません。 天然ガス発電機が14基、石油発電機が12基、小さい水力発電機が15基とは凄い発電公園で、 総電力許容が7028メガワット、日本の大型原子力発電機7基に相当します。 エタノールのタービン発電機は2基、アメリカGEの6,000 GE LM aero-derived turbines (aero-derivedは何だか分りません)、ここ部門の発電は87メガワットで、その半分は (天然ガスタービン)を改造してフレックス燃料で良いタービンで発電、改造は燃焼室、 燃料噴射装置、その他補助の部品を取替えて現在試験中です。 初期のテストの結果では窒素酸化ガス、nitrogen oxide (NOx、ノックス)の放出が20%減り、 これから『天然ガス・再生可能エネルギー技術研究所、Center for Natural Gas and Renewable Energies Technologies』が測定施設を建て、実際に窒素酸化ガス(ノックス)、炭素ガス(コックス)、 硫黄酸化(sulfur oxide、ソックス)を測定し国連のCDMのCDR(クレジット)になるように交渉すると 言ってます。 国連のCDMは無駄だと言ってましたが、このように事実上CO2削減を達成するのには異議はありません。 中国のように年に数百以上「何でもCDMにする」濫用が疑問で、ただ開発国から何かを搾取する手段の ように 見えます。 注:CDMについては1月17日「国連では解決出来ない」から1月26日「不可解な政策から出たキャップ・ アンド・トレード」を参照下さい。 ブラジルはラテン・アメリカで一番多い CDM 計画があり、地域の40%、CERは45%で、エネルギー 部門では91の計画があると http://en.wikipedia.org/wiki/Electricity_sector_in_Brazil に ありました。 これ等の計画で良い事は、政府が先導して、何がどの位CO2放出を削減出来るか、企業と共同作業を やっていることです。 25%削減するのに、日本政府は法律を最初に制定して企業に押し付けるみたいなので、企業が抵抗 するのは当然でしょう。法律化する前に企業代表と数多くの会議と懇談があり、政府自身も研究して、 そこで初めて何が法律化出来るか分るはずです。そうのような段階をどうして踏まないか、 理解出来ません。 ブラジルのエタノール発電は未だ世界の他の国で大規模に使っている国がないので、大いに意義が あります。 現在は化石燃料燃焼での発電は総電力の天然ガス10.6%、石油4.4%、石炭1.4%で合計 約16%以上、参考までに日本は約60%以上が化石燃料発電です。 ジュイス・デ・フォーラの写真の下の棒グラフは、過去10年の火力発電の変遷で、石油と石炭が減り、 CO2放出が少ない天然ガスに変えられています。天然ガス・タービンはエタノール・タービンに改造 出来るので、益々将来性があり、16%以上の化石燃料発電が、全部エタノール発電になる可能性もあり、 ここにある青のOther が何か分りませんが、エタノール生産工場でバガス(サトウキビの捨てがら)を 燃やした発電が数%でしたので、それではないかと推測します。 棒グラフの下は世界の国々が消費している電力量で、上から多い順に並べた表です。これはアメリカの CIAのデータで 調査年度が2005年が多くて古いし、2004年から2009年のデータも混じって いるので良いデータではありません、 そこで比較の参考だけに引用します。 電力消費の増加は世界的な傾向で、クリーン・エネルギーが強調され、電気車、パソコン、携帯等の普及と 共に、特に途上国では電化製品も増えて電力需要は増える一方です。ブラジルを例に上げると、上記の ウィキぺディアでは違った情報源(Economist Intelligence Unit, 2008)で2007年の総電力消費は 410 TWh、表は368.5 TWh(TWhはテラ・ワットアワーで、1テラは1、000、000、000、000=1、000、000 メガ=1、000ギガ)一人当たりは2,166 kWhで表と同じ単位にすると247ワット、表は226で、2年間で 9.3%増加、年に4.7%増加で、ブラジル政府は、これから数年は年間3.6%の割合で増加、 電力需要は504 TWh、一人当たりは 2,527 kWhを予測し、表の単位にすると288、それでもアメリカの18%、 イギリスの45%になります。 ブラジルのGDPは1980年から2000年まで平均2.4%、電気の需要は5.4%割合で増加したと あり、それに対応する為に大規模な水力発電計画があるようですが、広い緑(植物)面積を湖(貯水場) にするので、非難も多いし建設には時間もかかるので、小回りがきくガスタービン発電が増えると 推測できます。 この表で行くと一人当たりで消費が多い順はカナダ、アメリカ、オーストラリアが飛びぬけていて、その後に ヨーロッパ諸国や日本、韓国です。日本は過去数年の不況風で増加ないとして一人当たり868ワット、 ブラジルの288ワットと比べると3倍、多分ブラジルの大都市とか産業での消費は日本と変わらないので しょうが、地域偏差が激しく都市から離れた地域は日本みたいに多く電化製品もないので3分の1に なるのでしょう。 ブラジルの電力消費の内訳は、住宅又は家庭: 40% (地方 6% を含む)、工業: 25%、商業: 22%、地方: 6%、 公用: 13%、になってます。地方が2度出て来るので混乱ですが、辺鄙な地域の小さな電力会社は住宅、 商業とか区分けしないで誰にも供給してると察することにします。日本の電力消費で同じようなデータを 探しましたが、不可能で諦めました。日本の情報の多くは1本の木の情報分析が沢山ありますが、 全体の森が見えません。 検索の仕方が悪いのかもしれませんが、資源エネルギー庁の統計は森に入り迷ってしまいます。 ブラジルの再生エネルギーについて沢山過ぎるくらい話しましたので、今回でブラジルだけの課題は 終了します。