地球温暖化−日本は何が出来るか (1) 投稿者:風鈴 投稿日:2010年 3月23日(火) このサブタイトル「日本は何が出来るか」で、日本が過去に経験し、現在対面している問題を見て、 将来に一体何が出来るだろうとか、素人の無責任な観点を膨らまして色々な可能性を探ってみます。 「今までに実績がないので不可能だ」という経験の虜は改善も望めません。 「こうしたらもっと良くなるのではないか」という人が、政界と企業にもっと沢山出て来ると 良き将来もあることです。 25%削減は可能か 1 以下のような記事がNHKオンライン3月19日に出てました。 “国内対策だけで削減可能” 温室効果ガスを25%削減するための具体策を議論している環境省の検討会は、あらゆる技術を駆使して 国内の対策を積み上げれば、25%の削減は可能だとする試算をまとめました。 東京・千代田区で開かれた検討会では、交通や建築、地域づくりなどさまざまな分野の専門家が今後必要 な温暖化対策をまとめた議論のたたき台について意見を交わしました。この中には、企業への規制を伴う 排出量取引制度や、温暖化対策税の導入、再生可能エネルギーの普及や新築住宅の省エネ基準の義務化、 原子力発電所の稼働率の向上などが盛り込まれています。また、こうした対策を実施した場合、 2020年の温室効果ガスは、海外から排出枠を購入しなくても、1990年に比べて25%の削減が 可能だとする国立環境研究所の試算結果が報告されました。 これに対して、委員からは「運転開始から40年を超える原子力発電所が増えていくなか、稼働率を大幅 に上げられるのか」といった意見が上がりました。検討会では、来週開かれる次の会合で、25%削減を 実現するための「ロードマップ」案を取りまとめることにしています。座長を務める国立環境研究所の 西岡秀三特別客員研究員は「25%削減を達成するには 社会のあり方を変えなくてはならないが、 制度や費用の問題などさまざまな障壁があり、一つ一つ超えていかなければならない」と話しています。 昨年から「温室効果ガス放出を25%削減」が公約として出た時に、最初から「そんな無茶な!」が 反応でした。 未だ具体案が出てませんが、強烈な手段を取らなくても良さそうで、何をやったら可能か項目別にして 見てみましょう。 A) あらゆる技術を駆使して国内の対策を積み上げれる B) 企業への規制を伴う排出量取引制度 C) 温暖化対策税の導入 D) 再生可能エネルギーの普及 E) 新築住宅の省エネ基準の義務化 F) 原子力発電所の稼働率の向上 国立環境研究所の西岡秀三特別客員研究員座長は「25%削減を達成するには社会のあり方を変えなく てはならないが、制度や費用の問題などさまざまな障壁があり、一つ一つ超えていかなければならない」 とのことですが、「社会のあり方を変えなければならない」とは具体的に何を変えるのででしょうか。 税金徴収して何に使うのでしょう?「制度や費用の問題などさまざまな障壁があり」とも言ってますが、 「制度」に大きな欠陥があるのは明らかで、「費用」は馬鹿高い額かもしれず、それに「時間の問題」が 入ってませんが、「ロードマップ」を待つことにしましょう。 又も、12月18日の『なんと馬鹿高い愚かさ』、ブヨン・ロムボーグ教授の記事を持ち出しますが、 科学技術政策研究所のロジャー・ピールク教授の計算によると、日本が2020年までに温室効果ガス 放出を1990年から8%削減するには A) 新しい原子力発電所を9ヶ所建設、 B) 百万の風力発電機を建設し、ソラーパネルを3百万の家屋に設置し、 C) 新築の家の絶縁材を2倍にして、 D) グリーン車の購入の割合を4%から50%に上げなければならない とありました。これは25%削減でなく、この8%減少だけでも、2020年までには不可能な、 強烈な手段が入ってます。 下のグラフは今回の環境省検討会に直接たずさわっている国立環境研究所から昨年4月に出された 「日本国温室効果ガスインベントリ報告書」 http://www-gio.nies.go.jp/aboutghg/nir/nir-j.html からです。 1990年以来の日本全体の温室効果ガスの総量で青い部分が95%を占めるCO2、他はCH4 (メタンガス)、N2O(亜酸化窒素)、HFCs(ハイドロフルオロカーボン類)、PFCs(パーフルオロ カーボン類)、SF6(六フッ化硫黄)などは少量で、グラフのゼロ以下にある緑のCO2吸収量と同じ くらいなので、この際には無視します。 2007年が最新のデータですので、これが今2010と同じだと仮定しCO2放出は13億400万 トン、1990年度基準から14.0%増加、1990年から25%削減目的量は 約12億トン x 0.75=9億トンになります。 現在のレベルが13億400万トンなので9億トンは現在から33%減らさなければ無りません。 「これから10年以内に強烈な手段を取らない限り、それは不可能である」と言い続けてきましたが、 今回の検討会は「可能である」といってます。 具体案を見ないと何も言えませんが、次回にどうして「不可能であるか」を検討してみましょう。