地球温暖化−日本は何が出来るか (3) 投稿者:風鈴 投稿日:2010年 3月28日(日) 25%削減は可能か 3 何かと言うと政府は「省エネ」を持ち出していますが、CO2放出源の根本問題を解決するのは産業界が反対 するのでそう簡単でもなく、重荷を国民に背負わせる方が楽だからです。つまり政府が国民の為にやるべき 仕事をしていません。そこで、これから10年で家庭で使っている電力を3分の1減らすことが出来るで しょうか。それは先ず不可能です。電力消費は増加一方の傾向で、多くの電気製品が少ない省エネに なってるので増加率は低くなりますが全体の消費減少にはなりません。 しかし電力消費増加に伴い、CO2放出増加している電力会社の電力を捨てて、全部の家庭が電力源が 太陽光パネルからの供給となると、その分のCO2放出も無くなり、電力消費増加も問題ではありません。 これは極端な例ですが、要するに問題を起こしている産業を更正すべきで、これからの努力は「省エネ」 以上に「再生可能エネルギーの奨励」にあるべきでしょう。最近「電力会社は太陽光パネルから余った 電力を買う義務がある」のが法令になりましたが、それだけでは十分でありません。 他に改善が必要な面の例になりますが、現在、東京に住んでいると東京電力から電気を買わなければ なりません。他に安い電力を供給出来る補給があっても、東京の家庭には売れません。他の10の 電力会社も同じ特権があり、殿様みたいな競争なしの運営で改善の必要性に追われていないのは、 制度の大きな欠陥だと言います。 家庭電気消費について、カナダのマニトバ大学教授が日本の照明と家庭電気製品について書いた記事が http://www.peakoil.net/files/Japan%20focus%20(BPL).pdf にありました。 この参考の前半は生産効率についてですが、後半に日本の電化製品や照明について近年の傾向に触れて います。 「1990年から2005年までに家庭電気消費量は一人当たりで45%増加、総電力発電も33% 増えた」とあり下の表(Table 1) は1995年と2005年に、1000家庭にあった電気製品の 比較です。 先ず上から、部屋のエアコンが1000軒の家に2347台、前は一軒に一台が2005年は二台に なりました。カラーテレビも2台、ステレオが1.3台、ビディオが1.2台、洗濯機は前は3軒に1台が 今は皆が1台、大きい冷蔵庫が0.8台、パソコンが凄く前は10軒に1台しかなかったのが、今は 全家庭に1台、食器洗浄機まで5軒に1台あるようになり、これ等については皆さんも同じような経験が おありでしょう。 同じ期間に家庭での照明の消費電力が50%増え、一家庭につき一年に950kWhになりあました。 この消費量はアメリカの半分以下ですが、ドイツより20%、イギリスより30%高く、フランスの2倍 近くです。それが次の表(Table 2)にあり、日本の照明は欧米と違っている点を上げてますが、 この際は飛ばしましょう。 このような統計は少なくとも2年以上古い情報です。そこで最近の電力消費はどうなっているのでしょうか。 もう2年近くなりますが、2008年6月13日に書かれたロイター通信の記事が http://en.in-en.com/article/News/Electricity/html/200806137236.html にありました。 『日本は5月に記録破りの電力発電』 電気業界の情報筋によると、10の電力会社は五月に、低い原子力発電力を埋め合わせる為に 記録破りの発電をし、80%以上増加の石油燃料を使った。電気業界連合会によると、5月の総発電量は 757.8億kWhで4月より1.5%多く、4月も昨年より0.5%多かったので2ヶ月連続の記録となった。 5月には石油発電は408.1億kWhの発電で、昨年より10%増しで、101万キロリっトル(640万バレル)の 石油燃焼で、原子力発電の減少を補った。東京電力の柏崎原子力発電所の閉鎖が長期的となり 30%の総電力を供給していた原子力は現在26%になっている。 次の表は10電力会社が使った燃料の量(昨年からの増加率) 東京電力 全電力会社 石炭(トン) 175,999 (+30%) 3,923,338 (+6%) 軽油(キロリットル) 616,540 (+91%) 1,010,676 (+84%) 重油(キロリットル) 233,497 (+30%) 784,625 (+36%) 天然ガス(トン) 1,518,510 (+9%) 3,191,788 (+2%) 一番下にあるグラフは別の資料からで、少し古いのですが家庭用電力の増加が分かり、近年一番増えている 青い部分は洗濯機、衣類乾燥機、食器洗浄器と書いてありますが、パソコンもこの部に入って良さそうです。 ここで本題の33%削減に戻りましょう。 これで分かるように電力会社は需要の増加に合わせ、地震で使えなくなった柏崎原子力発電を補うのに 石油・石炭での発電を増やしているので、現状では電力需要増加がCO2放出増加に直結しています。 そこで家庭消費電力を33%減らせるでしょうか。私達の世代は必要とあれば出来るかもしれませんが、 若い世代にはそれが出来ません。そこで発電方法を代えるのが解決策なのに、政府は電力会社へそれを 削減一角の手段として要求してないとは失望あるのみです。