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                           地球温暖化−日本は何が出来るか (6)


                                            投稿者:風鈴  投稿日:2010年 4月 6日(火)  	


          外国依存 3 石炭

  石炭の輸入元は下の最初のグラフにあるように、輸入量が多い順にオーストラリア、中国、インドネシア、カナダ、
  ロシアというように、散らばっているのは良いことで、1980年以来輸入量が同じペースで増えているのも
  分かります。
  資源エネルギー庁の http://www.enecho.meti.go.jp/policy/coal/coal03.htm に以下のようにありした。

   1)石炭需給の現状と見通し
  ◇  我が国の石炭需要は、平成12年度には15,229万トンに上ったが、この中で海外炭の占める割合は約98%であり、
     我が国は世界全体の石炭輸入の約3割を占める世界最大の石炭輸入国。
   ◇  1次エネルギー供給に占める石炭依存度が5割近くに上るアジア諸国においては、エネルギー需要の増大に伴い、
     石炭の消費量も増大する見通し。

  ところが石炭使用増加は直接CO2放出の増加に繋がり、25%削減なんてとんでもありません。
  それが理由で、多くの開発国が既に石炭の使用を減らしたので需要が低くて輸入元には困りませんが。

  グラフの下の表は、一定量の天然ガス、石油、石炭を燃焼したら何の汚染物質が出るか示してます。
  最初にCO2(二酸化炭素)で天然ガスが11.7万ポンド、石油は16.4万ポンド、石炭は20.8万ポンド、
  石炭は天然ガスの約2倍のCO2を放出、同じく温室効果を起こす Nitrogen Oxides、窒素酸化ガス(ノックス)は
  約5倍、それに天然ガスから出ない、酸性雨を起こす Sulphur Dioxide, 硫黄酸化ガス(ソックス)、それに
  沢山の Particulates  微小粒子状物質(見えない小さなゴミ)を放出して石炭燃焼に何も良いことありません。

  石炭を使うのは値段が安いからで、このような弊害を除く方法が色々と試され、液体化された石炭もありますが、
  そこまで加工するともう安くなくて、燃焼すると石炭の分子なのでCO2放出は同じで利点もありません。
  そこでCO2ガスを集めて地下に貯蔵するCCS(Carbon Capture & Storage)が問題解決への近道である、
  と言ってますが原子力発電からの危険な放射線物質を地下に埋めるのと同じように、大規模だと危険性を伴います。

  一番下のグラフは過去40年以上の石炭需要の推移で、石炭使用の産業は限られていて、製鉄工場、発電所が主で
  窯業ー土石(磁器・陶器焼き物)工場はごくわずかです。製鉄業の使用量は1975年以来同じですが、
  発電所は1980年以後に増え続けてるのは、どうしてでしょうか。それは第二次オイルショックが起こした、
  とウィキぺディアhttp://ja.wikipedia.org/wiki/%E7%81%AB%E5%8A%9B%E7%99%BA%E9%9B%BB%E6%89%80
  には、このように説明があります。
 第二次石油危機の発生を受けて、1979年5月に行われた第3回国際エネルギー機関(IEA)閣僚理事会において、
 「石炭利用拡大に関するIEA宣言」の採択が行われた。この宣言には石油火力発電所の新設禁止が
 盛りこまれていたため、それ以降日本でも原則として石油火力発電所を新設することが出来なくなった。
 そのため、現在建設される火力発電所は、石炭やLNG、あるいはそれらの混合等となっている。

  石炭燃焼からの環境汚染は最近知られたことでもなく、1979年でも分かってました。
  そこでIEAが石炭使用を増加する決議などは近視的過ぎるとしか言えません。
  それから15年後に国連の最初の気候変動会議COP1が開かれました。
  1997年がCOP3で京都議定書になり、日本の誓約は1990年度基準から6%放出削減、ところが以後も
  発電所の石炭使用は増えていて、これは政治家の思考か指導力の無さが原因だ、と言う他になさそうです。

  製鉄業も主な石炭使用者で、1975年から40年間に製鉄生産量は上がっているはずですが、石炭使用量は
  上がってません。この間に数段階の効率改善があったと見て良く、最初に改善すべきは発電所になります。
  天然ガス輸入のブラジルでさえ1998年に石油・石炭85%を2007年には51%に減らし、
  7%の天然ガスを45%まで増やしています。(参照:3月18日 ブラジルの電力発電 2)

 「日本には何箇所の石炭使用の火力発電所があり、どのくらいの電力を発電しているのか」という素朴な質問で
  資源エネルギー庁の統計の森に入りました。火力発電は「汽力」「ガスタービン」「内熱力」に分けられていて、
  ガスは分かりますが、後は燃料が石炭か重油か分かりません。それに一般電気業者、卸電気業者、特定電気業者、
  特定規模電気業者、それに自家用発電があり沢山のエクセルの表の中で迷い子になりました。

  この質問に簡単に答えてくれる資料は無さそうで、残念ながら時間をかけて多数の資料を調べないと分からないので、
  次の機会にします。小規模の発電所まで入れて、日本には200基以上の火力発電機がある様子で
  効率が高くCO2放出が少ないガス複合(コンバインド・サイクル)が20基足らず、後は軽油・重油と石炭で
  これ等の発電機をガス複合に切り替えるだけで、25%削減の大きな部分を占めるはずですが、
  もう少し情報を集めてから試みましょう。