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                        地球温暖化−日本は何が出来るか (9)


                                               投稿者:風鈴  投稿日:2010年 4月13日(火)

  	同じ立場の国々 英国 1

   これまで日本のエネルギー源の外国依存性について沢山話しました。CO2放出削減には関係なく、誰もが安定した
   平和で暮らし易い社会が欲しいのですが、日本は何も出来ない他国の不安定な政治に依存し続けます。

   化石燃料からバイオ燃料への切り替えに成功している国の例として『将来への対策(4)、 2月 7日以降』で、
   スウェーデンとブラジルについて話しました。しかし、これらの国はむしろ除外で、他の多くの国は化石燃料に依存し、
   日本と同じ立場にある国が多いと言えます。そのように日本と同じような問題を抱えた国々が、
   どのような情況にあり改善計画があるか、例としてイギリスと韓国を選び、最初にイギリスを見てみましょう。

   先ず基本的なデータをイギリスと日本を比べると、

                  英国連邦(UK)          日本
   国の面積(万平方キロメール) 24.36              37.79
   21010推定人口(千万)      6.20              12.74
   人口密度(人/平方キロ)    255                337
   一人当たりGDP(万ドル)     36                38.5

   皆さんも御存知ですが、イギリスと日本は割と似ていると言えるでしょう。
   そこで http://en.wikipedia.org/wiki/Energy_policy_of_the_United_Kingdom から
   一次エネルギーの割合を日本と比べると

   燃料             英国連邦(UK)2007年     日本2005年
   石油               38%              49%
   石炭               16.7%             20%
   天然ガス             37.7%             14%
   原子力                5.8%             13%
   水力+再生可能エネルギー     1.8%            4%

   化石燃料を見ると
   石油+石炭            54.7%             69%
   石油+石炭+天然ガス      92.4%             83%
   原子力を加えると        98.2%             96%

   イギリスは伝統的に石炭、原子力に頼っていましたが1970年代より北海の石油と天然ガスのお陰で2000年過ぎ
   までは自国のエネルギー供給が出来ました。ところが北海の石油生産が落ち始めて、1997年にはエネルギー輸出国
   だったのが、2004年には輸入国となり、2015年にはエネルギー主要輸入国になる、と
   http://en.wikipedia.org/wiki/Energy_in_the_United_Kingdom にあります。

   これにイギリスが如何にCO2放出削減しているかのデータがあり、それが最初にある表で、ガス別にカラムで分けてあり、
   小さい文字で読みにくいのですが、右端のカラムが京都議定で定義した削減、一番したが2005年で15.3%
   減らした、とあります。下に小さな文字で説明があり分かり難いのですが、CO2は国内の削減(6.4%)で、
   15.3%は海外の領土も含んでる、とは多少曖昧です。しかしCH4(メタンガス)とN2O(亜酸化窒素)の削減は顕著
   なので、 一応信じることにしましょう。

   これから行くとヨーロッパ連合の2020年までに20%削減を達せるようですが、考えさせられるのは、この同じ
   期間に日本は削減どころか14%*上がっていることです。*参照: 日本は何が出来るか(1) 3月23日
   一つの理由はエネルギー密度が最低(効率が最高)だったのが1990年で、その後の密度が2005年までに
   9%**上がってしまったこともあるでしょう。**参照: 日本は何が出来るか(4) 3月30
   京都議定書で6%削減を誓約したのに14%上昇したのは他に何が理由なのでしょうか。
   一つには生産効率の低下ですが、それ以上に大きな原因は、前政府は削減など無視していたこと、と言って良いでしょう。
   現政府が取ってる手段は大いに疑問ですが、真剣に取り組んでいる様子ですので大きな前進だと言えます。

   下のグラフはイギリスが何の燃料で発電しているかですが、比較するのに日本のグラフと一緒に並べてみました。
   圧倒的に火力発電が多く、次に原子力、再生可能エネルギーは無しに近い面は凄く似ていてます。
   イギリスも電力消費は増えてますが1990年からの変化を表にすると、

              1990年    2004年
   電力消費量(TWh)  309.4    382.7(23.7%増加)

                  使用燃料の割合      日本の割合(2002年)
   天然ガス        0.05%    39.93%        27%
   石炭         67.22%    33.08%        22%
   原子力       18.97%    19.26%        31%
   再生可能         0        3.55%                0
   石油         6.82%      1.12%        11%
   水力         2.55%      1.10%         9%
   輸入         3.85%      1.96%         0

   石油+石炭     74.04%    34.2%         33%

   イギリスが1990年以後に、別記したように石油と石炭燃料の半分以上を天然ガスに切り替えました。
   日本は既にイギリスより少ないのですが、石炭と石油(重油)を天然ガスへ変えるだけでCO2放出が半分になり、
   複合発電だともっと効率が上がります。

   イギリスは多くの発電所が老化で近い将来に次々と建て代えなければならない危機に面し、政府は2010年までに
   再生可能エネルギーを15%まで増やす目標ですが、具体的に何の計画があるのか次回に見てみましょう。