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                             地球温暖化−日本は何が出来るか(10)


                                                   投稿者:風鈴  投稿日:2010年 4月16日(金)  	
          同じ立場の国々 英国 2

  イギリスの再生可能エネルギー源が現在何であるか、これから何が計画されているかについて、
  前回のウィキぺディア http://en.wikipedia.org/wiki/Energy_in_the_United_Kingdom と自分の意見の付け足しです。

  1) バイオ燃料
  これが現在イギリス最大の再生可能エネルギーです。1990年以来、メタンガスを廃棄物、下水処理施設、
  ゴミ捨て場から生産で、イギリスの水力発電を含めた総再生可能エネルギー源の39.4%、
  2004年には1990年から約7倍の129.3 GWh、木材などのバイオ燃料から約5倍の105.9 GWh を発電し、
  これらは総電力発電の約3%を占めている。この発電量は日本の太陽パネル総発電量より多いはずです。

  人間が出すゴミの量は膨大で、いずれ何処かへ集めて処理しなければなりません。日本でも多い廃棄物から
  火力発電やガス生産が出来ますが、電力会社にとっては余計な仕事が多くなるので手を出しません。
  ある地域一体の県、市町村が一体となり公共廃棄物、下水施設など纏め組織化する必要があり、
  日本政府、もしくは県市町村にそれだけの創作性と意思があるでしょうか。
  イギリスがやっていて、スコットランド、スウェーデンでもエネルギー源の多様化が進んでいます。
  
  2) 風力発電
  イギリスの風力発電は急激に増加中で、2005年には214メガワット許容だったのが、2008年には3ギガワット
  (約15倍)を突破し、ブリティッシュ風力協会(The British Wind Energy Association、BWEA)は2010までに
  6ギガワット(イギリス総電力の5%)に達すると予測で、2010年3月現在、269の発電所があり、
  2757のタービンが運転中で1.74ギガワット発電許容、イギリス政府は再生可能エネルギーを支援しているので、
  既に7.147ギガワット許容建設が認可され、9.77メガワット許容が認可を待っているそうです。

  イギリスがヨーロッパ連邦と同意した再生可能エネルギーの割合は2020年までに15%、それを可能にするには
  総電力の35−40%が再生可能エネルギーで発電されなければならなく、風力を使うと33−35ギガワット許容が
  必要であるとBWEAが言ってます。参考までですが、2008年に世界で一番の風力発電許容があるのは
  アメリカで25ギガワット、次にドイツが24ギガワット、中国が12ギガワット、小さなデンマークさえ3ギガワット、
  日本は多分2.5ギガワットにもならないと推測で、日本の風力発電については又後で取り組むことにします。

  3)その他
  イギリスの再生可能エネルギー計画の全体では風力発電が一番大きくて、他は全エネルギーの1%にも満たない
  のですが、出来るだけ沢山の人がエネルギーの自給自足を目指すのは大きな意義があります。

  A) コジェネレイション(Cogeneration)
  昨年ドイツのフォークスワゲンとリッシブリックという会社が、小型コジェネレーション発電機の大量生産する話しを
  してましたが(参照:10月19日熱電併給)、原理は同じで水を沸かし、蒸気で発電し、熱湯を家の暖房に使う方式です。

  複合発電とも呼ばれ、燃料は何でも良いのですが、木材、木製品から捨てる物、おがくずなどから作られた
  木質ぺレットなどが燃料です。欧米では家屋は家全体を暖房するのが通常で、コジェネレイションの範例は
  ニューヨークのマンハッタン一角がエジソン電力が発電に使った熱湯で暖房されています。デンマーク、ポーランド、
  フィンランド、スウェ−デンの家屋の50%はコジェネレイションで暖房、イギリスは少なくて1990年には
  2.5ギガワット、2004年には5.8ギガワットに増え、2010年には10ギガワットになる見込みとかです。
  大した発電量ではありませんが、日本の総風力発電量の30倍ですので無視出来ない発電量と言えるでしょう。
  上の2)風力発電で「日本は多分2.5ギガワットにもならないと推測」でしたが、2.5ギガワットは施設発電量で
  実際の発電量は20%以下になり、その低効率が日本の風力発電が伸びていない理由の一つでもありますが。

  B) 地域エネルギー組織(Community energy systems、ピッタリ合った言葉が無くて「地域」にしました)
  これは日本の10の電力会社に電力を任せるのと違い、各地域がコジェネレイション、他の再生可能エネルギー源を
  全部纏めて、サステイナブル(sustainable, 持続できる)エネルギーを地域に供給する組織です。

  ロンドンの郊外のサリー(Surrey)のWoking Borough Council(市議会)で始められた企画ですが、
  当時市のエネルギー部長だったエンジニアのアラン・ジョンズ(Allan Jones )が市議会へ提案し、
  そのまま受け入れられて市の企画になりました。http://en.wikipedia.org/wiki/Allan_Jones_(engineer)
  そこで彼がロンドンに引く抜かれロンドンでも同じような企画をし、他の都市も追従するようです。

  このように各地域が自給自足のエネルギー源を増加するのに熱心なのがスコットランドで、原子力発電を放棄し、
  風力と海の波力発電開発に力を入れ、2010までに17−18%の電力を発電、2020年までに40%にする
  目標だそうです。ドイツのコジェネレイションやスマート・グリッドの話しの時に、供給源が大会社に集中するより、
  将来はエネルギー源の多様化が必要だと強調されてます。多くの地域が、その土地に適合したエネルギー
  自給自足の増加が世界的傾向になるのは、大企業への依存度が減るので良いことだと言えるでしょう。

  このように小さな市議会が地域での再生エネルギー総合化を企画し、自主性で民間と協力で新しいエネルギーを
  開発し、ロンドンも同じ事をやる。一方では東京都はCO2削減の条例だけを民間へ押し付けるとは、
  随分違いがありますが、日本では「お上」がそれだけ思考が無く権力だけある、ということになるのでしょうか。