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                            地球温暖化−日本は何が出来るか (13)
 

                                                     投稿者:風鈴  投稿日:2010年 4月22日(木) 

  	オイルピーク

  日本のエネルギー源の外国依存性について話し、多くの開発国が再生可能エネルギー源を増加していると
  述べましたが、それは世界の石油生産が最高になる『オイルピーク』が近い将来にあるからです。
  石油がなくなるのではありませんが、ピークに達したら、その後は生産量が減る一方で値段が急騰するのが当然です。

  この『石油ピーク、Oil Peak』は石油の生産と開発が将来何年に最高に達するかは、シェルの地球物理学者、
  M.K.ハバート(M. King Hubbert)が1956年、55年くらい前にアメリカ石油学会で発表した理論で
  下の最初のグラフ、青の部分が1956年まで実際の生産量、緑が当時分かっていた世界石油埋蔵量、
  茶色がその後に見つかるであろう埋蔵量を示してます。

  このカーブによると、今年2010年には既にピークにありますが、オランダのオデル教授の説によると2060年に
  ピークになるという説もあり、多少ピークの時期がずれているかもしれませんが、いずれ今世紀の半ばに最高になり、
  その後の石油生産は下降線をたどるという説で、
  http://ja.wikipedia.org/wiki/%E7%9F%B3%E6%B2%B9%E3%83%94%E3%83%BC%E3%82%AF
  か又は http://en.wikipedia.org/wiki/Peak_oil に詳しく説明してあります。

  石油業界は「そんな事はあり得ない」と言ってましたが、アメリカは1956年に世界一の石油生産国だったのが、
  ハバート氏のアメリカのピークが1971年で、予測通りになりました。
  ブラジルで膨大な油田がリオの沖に発見されましたが、地下5−6キロにあり、採掘・抽出も簡単でなく、
  生産が始まっても価格も高くなり生産量も現在は未知数とされています。
  北極の地下に大きな油田があるそうですが、同様な問題もあると予測され、中東のように簡単に採掘出来る油田が
  少なくなっているので、私達の時代ではありませんが、そう遠くない将来にピークに達するでしょう。

  下の2番目の表は石油生産国の石油埋蔵量(Reserve)を上から多い順序に挙げてます。サウジ、カナダ、イラン、
  イラク、クウェート、アラブ首長国、ヴェネゼラ、ロシア等ありますが、右の Production が現在に生産量、右端が
  今後何年で枯渇するかの年数です。現在ロシアは大量に生産してますが、17年で無くなり、アメリカが8年、
  中国が14年、これらの大量石油使用国が他国から輸入しなければならないとなると、その時の国際関係次第で
  カナダ、イラン、イラクとかの生産量が増え、それらの国々の残りの年数も減ることでしょう。

  以前に「何のエネルギー源にしろ、広く実用化されるまで急速なペースで増加しも、実用化まで30年以上かかる」
  とシェルの科学者の説を紹介しましたが(参照:将来への対策(1) 低カーボン・エネルギー 2月 1日)
  現在多くの国が生産始めたエタノールが、世界の総一次エネルギーの1%に満たないので、今後エタノール生産に
  驚異的な進歩があったちしても、石油のピークに丁度間に合うかどうか、のタイミングになりそうです。
  その頃はエタノールばかりでなく、他の液体再生可能燃料がないと石油の半分も取り替えられないでしょう。

  一番下の円グラフは広義な意味での世界の石油埋蔵量で、上の黒い部分はカナダのタールサンド(原油を含んだ土層)、
  緑が証明された埋蔵量、青が将来に加えられる量、下の大きな赤い部分は採掘できない石油、灰色がオイルシェール、
  茶色が重油で、先ず緑の部分を消費した時点でピークになり、その後は価格も上がる一方だとなります。

  ここでオイルシェール、Oil shale が出て来ましたが、ウィキぺディアに説明があり、
  http://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%82%AA%E3%82%A4%E3%83%AB%E3%82%B7%E3%82%A7%E3%83%BC%E3%83%AB
  油母頁岩(ゆぼけつがん)とか油頁岩(ゆけつがん)とか呼ばれていて、簡単に言えば油母を含んだ岩石です。

  この岩石をそのまま燃やし、エストニア、中国、ブラジルなどでは発電所の燃料としても使われて、
  岩石を加熱すると油母がガスと液体になり、それを集めたのがシェール油、産地により成分が違っていますが、
  ガソリンとして使われる成分は少なく合成石油、ケロシン、ジェット燃料、ディーゼル燃料などになります。
  アメリカではオイルシェールが沢山あるので、オイルシェール層にあるオイルシェール・ガスと一緒に今後アメリカの
  エネルギー源として多面に使用されそうです。

  天然ガスピークもありますが、先ずは日本が一次エネルギー源の50%依存している石油ピークが遠くない日にあり
  価格の急騰は当然で、日本は今直ぐに再生可能の液体燃料の開発へ全力を投じないと、エネルギー確保は
  困難になる一方です。自給自足の観念を失った日本は、極度な困難さに面しないと、それを自覚しないのかもしれません。