地球温暖化−日本は何が出来るか (14) 投稿者:風鈴 投稿日:2010年 4月24日(土) 報道された政府の計画 1 コペンハーゲンの会議が終わったのが昨年末、その後に政府の動きに関し色々なことが報道されましたが 一貫しているのは「温室効果ガスを1990年を基準にして25%削減する目標の実現を目指す」という事だけです。 如何にして25%削減をするのでしょうか。多くの具体案が未だ検討中で明確に一貫した計画は何も無く、 報道陣も何でも良いからニュースにしようとしているだけで、あちらこちらへ飛んでの混乱状態を感じます。 温暖化対策について、NHKオンライン、YOMIURI ONLINE、毎日JP、朝日等に報道された記事を今年の1月から 内容の一部を並べ、略された記事の後の**の部分が不満さ、疑問、纏め、反対意見とかの私見になります。 1月15日 温暖化対策へ基本法案の骨子 環境省は、企業に削減目標を義務づける国内排出量取引制度や、化石燃料への新たな課税などを盛り込んだ 「温暖化対策基本法案」の骨子をまとめ、来週から始まる通常国会に提出することにしています。 環境省がまとめた法案の骨子では、政府が主要な排出国の参加を前提に打ち出した、2020年までに温室効果ガスを 1990年に比べて25%削減することを目指す中期目標と、2050年までに80%削減する長期目標が明記されています。 これを実現するための政策として、企業に温室効果ガスの削減目標を義務づけて過不足分の排出枠を売買する 「国内排出量取引制度」の導入や、ガソリンなど広く化石燃料に課税する「温暖化対策税」を検討することなどが 盛り込まれています。さらに、太陽光や風力など自然エネルギーで発電した電力を、電力会社に買い取りを義務づける 固定価格買取制度などを拡大し、エネルギー供給の10%を自然エネルギーで賄うとしています。 環境省は、この法案を3月上旬までに通常国会に提出する方向で、ほかの省庁との調整を進めることにしており、 今後、具体的な政策の内容や導入の時期をめぐる議論が本格化する見通しです。 **要点だと思えるのは 1.主要な排出国の参加を前提 ⇒ 果たして日本がやる気があるか否かが前提より重要なはずでしょう。 2.2050年までに80%削減 ⇒ 2020年までの目的成就以前に2050年の夢を見るのは時間の無駄と言います。 3.「国内排出量取引制度」の導入⇒ 産業別に異なるべき上限を誰が決めるのか。 4.「温暖化対策税」 ⇒ この税からの歳入を一般歳入にするのか、同額を排出削減に使うのか。 5.自然エネルギーで発電した電力を買い取り義務づける固定価格買取制度 ⇒ もっと大きい電力リストラが必要。 6.エネルギー供給の10%を自然エネルギー ⇒ 現在のペースでは10%も無理でしょう。 **このように沢山の疑問があります。 1月26日 政府、温室ガス25%削減目標を提出 昨年12月に国連気候変動枠組み条約第15回締約国会議(COP15)で承認された「コペンハーゲン合意」に参加し、 2020年までに温室効果ガスを25%削減(1990年比)するとの目標を条約事務局に提出した。 3月までに「25%削減」の目標や対策を盛り込んだ地球温暖化対策基本法案(仮称)を国会に提出する見通し。 **COP15で日本国として明確な「前提だ」と主張がなかったので、他の主要国が理解する訳ありません。 それ以上に大切なのは、他国に関係なく日本が25%削減する意思が一体あるのか、になります。 ほとんどの開発国は前提なしの削減目標があり、明確でないのが遅れたアメリカだけ、アメリカと同じ地位に立つのか、 この政府の決断力の無さは普天間基地の移設問題ばかりでなく、いずれ命とりになるでしょう。 2月3日 温室効果ガス25%削減で3案提示 政府の「行程表」論議スタート 政府は3日、地球温暖化問題に関する閣僚委員会の副大臣級検討チームの会合を開き、温室効果ガスの 排出削減に向けたロードマップ(行程表)の議論を開始した。小沢鋭仁環境相は、国連事務局に提出した 「2020(平成32)年までに温室効果ガス排出量を1990年比25%削減する」との目標について、 国内だけで15%以上を削減し、残りは海外からの排出枠購入などでまかなうとする素案を提示した。 今後、週1回程度のペースで議論し、行程表を3月にまとめる。 3月上旬にも、25%削減に必要な政策のあり方を示す地球温暖化対策基本法(仮称)案を通常国会に提出する。 行程表は、その具体策をまとめたものだ。この日、小沢環境相は行程表の素案として「15%」「20%」 「25%すべて」という3パターンの国内削減経路を提示した。 これに対し、「25%一本でいくべきだ」「削減の裏付けを慎重に精査すべきだ」などの声があがったという。 国立環境研究所の試算によると、15〜25%削減に必要な家庭部門の追加投資額は住宅関連だけでも 38兆〜40兆円に及ぶ。新築はすべて高断熱タイプとし、ほとんどの世帯に高効率給湯器を導入する必要があるためだ。 また、新車販売に占める次世代エコカーの割合を44〜88%に高めることも求められ、これには社会全体で 8兆〜10兆円が必要とされている。 対策を強化すれば、エネルギーコストの削減につながるというメリットがあるが、景気低迷が続く中、各家庭にとって 初期投資の負担は小さくない。エコポイント制度やエコカー購入補助など財政出動による支援が有効だが、 財政悪化も深刻でどこまで対策をとれるかは未知数だ。素案には、削減のための具体策も一部盛り込まれていたが、 内容は公表されなかった。田島一成環境副大臣は「数字が独り歩きすることで国民に誤解を与える」ためと説明している。 **小沢環境相の「15%」「20%」「25%すべて」という3パターンの国内削減経路の意図がさっぱり分かりません。 国際会議で25%を誓う、ところが国内では3段階を作るとは目標達成の意思が欠けているみたいです。 25%目標で最善と尽くす、そこで15%しか出来なくても良いでしょう。ところが最初から「出来ない」の15%を 計画するなど、これでは日本の政治家が国際社会で指導的立場に立てる訳ありません。 **国立環境研究所の推定は、ヨーロッパの専門家の見積もりと似ています。 参照:1月26日「 不可解な政策から出たキャップ・アンド・トレード」 ロジャー・ピールク教授の計算。 家庭部門の追加投資額は住宅関連だけでも38兆〜40兆円、エコカーだけ社会全体で8兆〜10兆円、 これ等は家庭部門だけで未だ主要放出源である産業、運輸、電力会社を含んでいません。 このような報道は面白くないのですが、意味が無い温暖化対策基本法案が出来るかもしれなく、 このように過程を追って行くと何をやっているか「分かりそうな気もする」ので、記録として続けてみます。