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                                            原爆の役割と平和への道
  
                                                                         投稿者:トニー   投稿日:2013年 9月11日(水)    


      1.序

       原爆の役割について説明を追加させて頂きます。私の意見は一種の原爆擁護論です。日本では多くの方が原爆を擁護すると
       聞いただけで、反感を持ちます。しかし、原爆の役割を無視することが、戦争責任を分からなくしてしまっています。
       そして、平和への道を歩むためには、他にもっと考えるべき大事なことがあると思い、敢えてこの文 を書きました。

      2.右寄りの方の考え方

       太平洋戦争が終わり、東京裁判が始まった時、アメリカは裁判に対し、「人道上の罪」という概念を持ち込み、
      戦争犯罪人を裁こうとしました。これに対し、弁護側は「人道上の罪を言うならば、アメリカは原爆を落とすと言う
     人道上の罪を犯したではないか。これを裁かずに、日本だけを裁こうとするのは不当である。」という主張をしました。
      この主張は外国でも有る程度の共感を呼び、戦後今日に至るまで、戦犯擁護者の「東京裁判は戦勝国側が敗戦国を
     不当に裁いただけで、日本は悪くない」という考えの大きな論拠となっているものです。
      しかし、よくよく皆様に考えて頂きたいのです。前回述べたように、原爆が落とされたことによって、日本は敗戦を決意したのです。
      大戦による日本人の死者は約300万人です。敗戦国であるにもかかわらず、アジア人の死者2,000万人以上と比べ、
      はるかに少ない数字です。また、ヨーロッパ戦線での死者(3,000万人以上)に比べても、はるかに少ないのです。
      これは地上戦がいかに死者の数を増やすかを物語っています。もし、原爆が落とされなければ、本土決戦を行っています。
      この時、日本人の死者は2,000万人、3,000万人という数に登っていたはずです。原爆で死んだ30万人は、その約100倍の人間が
     死ななくてすんだ、そして、あなた方自身が死ななくてすんだ礎と考えるべきです。この原爆の果たした役割を認めなければ、
      事実を無視することとなり、上記戦犯擁護論を支持することになります。

    3.左寄りの方の考え方

      戦後の苦しい経済情勢の中で、共産主義の主張は日本でも多くの共感を呼びました。この主張とは「今の自由主義(資本主義)
      体制とは、資本家階級が労働者階級を搾取する体制である。人は皆平等でなければならない。 このためには、資本家階級を
     革命的手段によってでも、打破しなければならない。」というものです。この主張に敢然と反対し、自由主義を守ろうとした
     のがアメリカです。共産主義者あるいはその同調者にとって、アメリカは悪魔の帝国であり、アメリカの持つ原爆は労働者階級を
     支配する道具に見えたのです。「自由が良いか、平等がよいか」というイデオロギーの違いをその考え方のみで評価するのは
     困難であったと思います。
      しかし、歴史の歩みはどちらが良かったかを明確に示しました。いくら働いても同じ収入というのでは、多くの人は
     あまり働きません。その結果、共産圏諸国は次第に貧しくなり、国力も衰えてしまいました。 また、自由を抑圧したため、
     国民は暗く、惨めな生活を余儀なくされました。この国民の不満が爆発し、ソビエト連邦と東欧共産圏諸国は内部崩壊しました。
     中国はこれを見て、共産主義の非を悟り、自由主義に変えて行きました。今の中国の繁栄は共産主義をやめたからです。
     中国共産党の名前は実態と全く違っています。現在残っている共産主義国である北朝鮮と韓国を比較しても、どちらが
     良かったかは明瞭に分かります。もし、日本で共産革命が成功していたなら、又、共産主義国に占領されていたなら、
     今頃どの様な生活を送っていたのか、よく考えてみてください。東西冷戦において、アメリカの果たした役割を正確に
     評価してください。
     この東西冷戦に関して、日本は何も関わらずに、ただひたすらに経済向上に努めることができました。これは平和憲法のお陰です。
     事情を知るアメリカ人の中には「あの平和憲法を押し付けたばかりに、東西冷戦で日本の協力は何も得られず、アメリカばかりが
     苦労し、しかも、朝鮮戦争特需等で日本経済は復活し、挙句の果ては一人当たりGNPで日本に追い越されてしまったではないか」
     と自嘲している人もいると思います。
     東西冷戦は、主要国どうしの実際の戦争にはならなくて、終わりました。これは帝国主義国どうしの争いが第2次世界大戦を
     経なければ終わらなかったのに比べ、人類にとって、極めて幸せなことでした。この最大の理由は核兵器の抑止力のお陰です。
     一般に戦争は、国内の騒乱、国境での小さな紛争等が次第にエスカレートして起こり、全面戦争に発展していきます。
      しかし、核兵器があれば、全面戦争は当事国の壊滅に繋がります。この時はもはや、自分の主張するイデオロギーが正しいと
    思っても、そのようなことを言っている場合ではなくなります。この核兵器が戦争抑止力として果たした役割も正確に
    評価してください。

    4.中立の平和主義について

     前回述べた「原爆は絶対悪」と言った場合の後ろに潜む危険性を再度指摘します。「絶対悪」と言った人は平和を追求する積りで
     言っているのでしょうが、これを強調すると、逆効果も大きいと思います。戦争の実態を知らない人がこの表現を聞けば、
     絶対悪を行ったアメリカに対し、嫌悪感を持つでしょう。「アメリカに復讐を」とまでは言わないにしても、
      「日本は被害者であって、悪いことはしていない」と言う考えに結びつきます。
      実際、中国、韓国がいう「歴史認識を正しく持て」という言葉にさえ反発し、逆に、中国、韓国に憎悪を募らせ、
      加害者としての責任論は消えてなくなりつつあります。

    5.原爆そのものが悪い、又は、作った科学者が悪いという説について

     アメリカにも原爆反対論者はいて、その中に原爆を作った事を後悔する人はいます。しかしそれは極めて僅かです。
     私は退職した時、アメリカのローレンスリバモア研究所に講演を頼まれて行ってきました。この研究所はアメリカ最大の
     軍事研究所で、約6,000人の研究員を抱えていて、大半の研究者は物理のドクターを持っている科学者です。当然、
     今も核兵器を含む兵器の研究をやっています。その他、原爆を作ったオークリッジ研究所もイギリスのBNFLもフランスの
     サックレイ研究所も行ったことがあります。その他各国に原子力関係の知己がいました。皆、マンハッタン計画の成功を偉業と捉え、
     原爆を作ったことを後悔、非難する人は一人も知りません。また、私は行ったことがありませんが、ロシア、中国、インド、
     パキスタン、イスラエル、イラン、北朝鮮いずれも軍事研究所があり、核兵器及びその周辺分野の研究開発を行っています。
     国がやる気になれば、科学者は集まって来るというのが現実です。原爆の製造や投下を科学者のせいにするのは、責任の所在を
    極めて不明確にします。これはあくまで国家の責任かつ政治の責任と捉えるべきです。
    もう一度マンハッタン計画の擁護論を述べます。ドイツに原爆を開発する計画があるのを察知した科学者がアメリカに行き、
     「もし、ドイツが先に原爆を持つと世界はドイツに征服されるであろう。是非、ドイツより先に原爆の開発に成功すべきである。」
    と進言したからです。アメリカや連合国から集まった多くの優秀な科学者が「生存権」をかけて死に物狂いの研究をやった成果が
    原爆です。「生存権」まで否定すれば、多くの人の同意は得られないでしょう。
    パグウォッシュ会議でも、最初こそ核兵器は絶対悪とされましたが、2回目以降、核兵器の抑止力について評価されるようになり、
    1964年の第12回会議では、「最小限抑止の原則は全面軍縮に到る最も有用な道」とし、核兵器の役割を高く評価しています。

    6.平和への道

    (1)現状認識

      アメリカの核の傘に入って、日米同盟の深化を目指すと言いながら、原爆記念日に核兵器廃絶と叫んでも、年に二日限りの
     セレモニーのお題目としか思われません。実際にそして真剣に平和への道を追求するためには、このような他国の政策に
     口出しする前に、日本には、はるかに重要なやるべきことがあります。
     今、日本は平和への道の重大なターニングポイントに立っていると言えます。世界中を見ても、隣接する全ての国と
     領土問題で係争している国は他に有りません。今や、日本人の90%以上が中国人、韓国人に嫌悪感を持つようになりました。
      一方、中国人、韓国人も大多数が日本に対し嫌悪感を持つようになりました。例えば中国の公式サイト環球網が行った
     アンケート調査によれば、

       @ 日本政府に対する好感度(10点満点)

          0点 50.5%、1点 14.9%、2点 9.8%、3点 9.6%、平均 1.45%

          A 日本国民に対する好感度(10点満点)

           0点 27.7%、1点 14.1%、2点 10.6%、3点 9.6%、平均 2.9%

          B 今後の日中関係は

          敵対関係 70.1%、競争相手 24.7%、良くなる 2.9%

       C 日中間で戦争の可能性はあるか?

          大きい・比較的大きい 79.7%、小さい 6%、ない 0.9%

       D 日中間にマイナスの影響を与えているものは何か?

          歴史問題 47.3%、 領土紛争 18.4%、日本の右翼 13.9%

       E 日中間にプラスの影響を与えているものは何か?

          経済貿易の密接さ 33.2%、 経済構造の相互依存 14.3%、文化の近似性 14.6%

       F 今後の日中間に期待が持てるか?

          殆どもてない 77.5%、 半信半疑 16%、もてる 2.3%

      このアンケート調査によれば、中国人の多くは日本を敵と見なし、戦争でさえ否定していないということです。
      日本と中国のGNPの成長率の差は約7%あります。このまま行くと10年後には中国のGNPは日本の2倍、20年後には4倍、
      30年後には8倍になります。実際に8倍までなるかどうかは分かりませんが、1人当たりのGNPが日本の半分になるとしても、
      5倍にはなります。この時には、アメリカのGNPをも追い抜いている可能性が強いのです。日本人は中国と戦争する覚悟が
     ありますか?安保条約があるから、アメリカが参戦してくれる。本当でしょうか?アメリカでも、自国よりGNPが大きい国
     とそう簡単には戦争しないでしょう。まして、戦争の原因が日本の挑発にも有ると見なせば、安保条約の適用を見送る
     可能性は十分あります。戦争を覚悟するのであれば、今から、軍事費を増大させなければなりません。中国が軍事費の割合を
     GNP比で一定に保ったとしても、30年後に、中国の軍事費は今の5倍にはなります。日本は軍事費の割合を今の5倍にしなければ
     なりません。ただでさえ借金漬けの国の予算です。今の年金、医療、福祉制度など、破綻してしまうのを覚悟すべきです。
     勿論、中国はそう簡単には戦争を始めないでしょう。先ず、経済制裁を始めます。中国の日本資産を凍結し、貿易を遮断するでしょう。
     これは中国にもダメージを与えます。このダメージの両国の比も大略GNPの両国の比と考えれば良いでしょう。日本のダメージは
     中国の5倍になります。国際マネーは勝ち馬に乗ろうとします。円の大暴落が起きます。日本は食料とエネルギーの大半を輸入に
     頼っています。食料とエネルギーの価格は大暴騰するでしょう。
     この戦争への道を歩むのを止めるために、日中間にマイナスの影響を与えているとされる上記3つの要因(歴史問題、領土紛争、
     日本の右翼)について次に検討します。

    (2)歴史問題
 
      今では、大手新聞にも「村山談話が国益を損ねた」「靖国神社参拝は国内問題で他国にとやかく言われる筋合いではない」
     と言う意見があり、多くの週刊誌等では、これに反発する中国、韓国を非難、中傷し、お互いの国民感情は悪化の一途を
     たどっています。更に、阿部首相は「侵略戦争の定義が定まっていない」と言って、日中戦争や太平洋戦争が侵略戦争で
     あることを明確にしませんでした。また、阿部首相はアメリカに反対されてやめてしまいましたが、村山談話の見直し、
     靖国神社の参拝をしようとし、更に、中国、韓国の反発を買っています。
     国の戦争責任については、日本政府は村山首相の時、閣議決定して、村山談話を発表し、「植民地支配と侵略によって
     諸国民に多大の損害と苦痛を与えた」ことを認め、謝罪を表明しています。またその後の歴代内閣においても、
     前内閣までは、この考え、もしくは同等の考えを踏襲してきました。
      一方、個人の戦争責任については、日本による戦争犯罪人の追及は全く行われず、東京裁判の判決については、
     サンフランシスコ講和条約締結の際、これを受け入れてはいますが、これは国際法であって国内法では無罪として、
     死刑執行された7人は公務死とし、それ以外は順次釈放しています。即ち、国内法では、個人の戦犯は誰もいません。
     さらに靖国神社では7人のA級戦犯を「昭和殉難者」と呼び、戦犯どころか、むしろ崇め奉っています。このことが、
     「罪を憎んで、人を憎まず」と言う日本人好みの人情に訴え、「日本人は皆、頑張ったのだ。個人の責任は問うまい。」となり、
     多くの日本人の支持を受け、又、閣僚や国会議員参拝の根拠となっています。しかし、太平洋戦争は人情話では有りません。
     被害国の人々にとってみれば、「2,000万人以上をも殺しておいて、誰も責任が無いとはどういう事だ。日本人は
     反省してないのではないか。」と思うのは当然ではないでしょうか。
     今後やるべきこととして、今更日本人の手で戦争犯罪人に対する裁判を行うというのは現実的ではないでしょうから、せめて、
     政府は新たに戦争犠牲者追悼の施設を作り、公人は靖国神社を参拝しないことです。また、国会が村山談話を追認する議決を
    することです。そして、我々一般人は、事実をもう一度学び、感情的にならず、謙虚に自らの歴史認識を振り返ることです。

    (3)領土問題

       @ 北方領土

        北方領土は、ソ連が日ソ中立条約を一方的に破って、侵攻し、奪ってしまったもので、人が住んでいた日本固有の島で、
        戦争で奪われた唯一の領土です。また、アメリカが沖縄を返還したのに対し、ロシアは未だに返還していません。
        従って、返還要求するのは当然ですが、次のことを頭の中に入れておくべきです。日本はポツダム宣言を受け入れて、
        降伏しましたが、ポツダム宣言には、日本の領土は本土4島と、その他小島であり、その小島は戦勝国が決めるとあります。
        また、サンフランシスコ講和条約では、日本は千島列島を放棄するとあります。この小島あるいは千島列島の定義がないため、
        果てしない議論が続きましたが、アメリカはソ連に参戦を要請した立場がありますから、この問題では日本は実質的な
        支持が期待できません。従って、私は4島を無償で返還しろというのは無理だと思います。返還交渉では、
        譲歩案が検討されたこともありますが、いずれも強硬派、マスコミ等が反対し、譲歩案を蹴っています。
        戦前から常に、日本は交渉担当者が外交交渉で譲歩案を出そうとすると、強硬派と多くのマスコミが「我々の主張は正しい。
        国益を失うな。」と言ってこれを潰します。話し合いで決めるためには、有る程度の譲歩が必要です。

      A 竹島

        竹島が法的に日本に領有権が有るとする根拠の1つに、1,905年に竹島を日本に編入した際、韓国は黙認したことを挙げます。
        法的には日本の主張は正しいと思いますが、竹島を日本に編入した同じ年に日本は第2次日韓協約により、事実上外交権を奪い、
        1910年には韓国を併合しています。韓国側に立って見れば、国全体が間もなく併合されようと言う時に、竹島を日本領と
        宣言されても、異を唱える状況に無かったという点は考慮すべきです。また、竹島はすぐ横に有る鬱稜等に比べて、あまりにも小さく
       (0.23km2)、その付属島にも見え、アメリカも岩礁と呼んでいたほどです。
        しかし、竹島が日本領となると、広大な海の権益が韓国から失われます。
        戦後、韓国が竹島を占拠したのは、アメリカの領有権の解釈が混乱したからです。今、アメリカは、決着は国際司法裁判所の
        判断によるべきとして、自らの判断を示しません。どちらの肩を持っても、相手側に恨まれるからでしょう。

      B 尖閣諸島

        「尖閣諸島は1885年に我が国の領土に編入して以来有効に支配しており、解決すべき領土問題は存在しない。」というのが
       日本政府の見解です。この問題が表面化したのは、1,971年に中国、台湾がその領有権を主張し始めてからです。
        しかしこの頃、日中首脳は日中正常化交渉を行っており、両国は平和ムードに溢れていました。中国が共産国で
       あるにもかかわらず、日本人の約7割が中国に親しみを感じていました。この最大の理由は中国が戦争の賠償を
       求めなかったからだと思います。
       尖閣問題に関する外交文書によれば、72年日中国交正常化交渉の時、田中首相が周恩来首相に「尖閣諸島について
       どう思うか?」と問い、周首相が「今これを話すのは良くない」と言っています。また、78年8月、日中平和友好条約
       調印直前にケ小平副首相が園田外相に「この問題に触れるべきではない。先送りしてゆっくり考えるべきだ。」と言い、
       更に、同年10月、ケ小平副首相は日本記者クラブでの会見で、「確かにこの点(尖閣問題)については、双方に
      食い違った見方がある。中日国交正常化の際も、双方はこの問題に触れないことを約束した。今回、中日平和友好条約を
      交渉した際も同じく、この問題に触れないことで一致した。中国人の知恵からして、こういう方法しか考え出せない。
       こういう問題は、一時棚上げしてもかまわない。10年棚上げしてもかまわない。我々の世代の人間は知恵が足りない。
       後の世代は、きっと我々よりは賢くなる。その時は必ずや、お互いに皆が受け入れられるよう方法を見つけることが
      できるであろう」と言っています。
       これ等を根拠に、中国政府は尖閣諸島問題を棚上げし、将来の解決にゆだねることについて日本も了解していたと
       主張しています。そして、野田内閣が尖閣諸島国有化を宣言した時、これは、棚上げでは無く、現状変更だと
       抗議しています。これに対し、日本政府は、「日中共同声明、日中平和友好条約のいずれも、尖閣諸島に関する
       記述はない。首脳会談などで、棚上げ方針について明確に一致したわけでもない。解決すべき領土問題はない。」としています。
       中国は、行動面では活動家の上陸、監視船の侵入、中国国内での破壊活動を伴う激しいデモ等攻撃的ですが、
       中国政府の要求としては、民主党政権に対しても、阿部政権に対しても「領土問題の棚上げ」という極めて穏健なものです。
       従って、「棚上げ」に同意すれば、この様な行動は無くなくなるでしょう。

      C 領土問題の解決法

        これ等領土問題の特徴は、この懸案の領土の全てを失っても我々の生活には特に影響が無いにも関わらず、
        面子をかけたナショナリズムの攻めぎ合いをしていると言えると思います。この解決には、当事国だけで
        いくら話し合っても、自国の主張の正しさを言い合うだけで結論は出ないと思います。そこで、国際司法裁判所への
        提訴をまず基本とすべきだと思います。国際司法裁判所の判断が出れば、両国とも多くの人は従うと思います。
        しかし、一般に、国際司法裁判所への提訴が進まない理由は、実効支配している国が提訴に応じないからです。
        日本でも、北方領土、竹島は提訴するが、尖閣は提訴しないでは国際社会の支持は得られないでしょう。
        これ等の全てについて提訴することを、相手国、相手国民そして国際社会に働きかけることです。特にアメリカに
       「国際司法裁判所提訴による解決」の協力を要請することです。但し、どうしても提訴に同意が得られない場合が
       あるかも知れません。この場合、何等かの妥協案を出すべきです。北方領土問題では、2島無償返還、1島有償返還
       ぐらいでも良いと思います。竹島については、慰安婦問題等に賠償金を払った上で、一時韓国側が非公式に提案した
       「爆破してしまう」という決着が良いと思います。
       尖閣列島については、中国の言う棚上げ論を十分検討すべきです。また、完全決着を目指すのなら、1島を譲渡する
       ぐらいでも良いと思います。中国は、日中平和友好条約調印時に、国土を蹂躙され、1,000万人以上(中国側の公式声明では
       日中戦争全体では3,000万人)を殺されたにもかかわらず、賠償金請求権を放棄しています。ケ小平副首相が
       その時言った言葉「我々の世代の人間は知恵が足りない。後の世代は、きっと我々よりは賢くなる。その時は必ずや、
       お互いに皆が受け入れられるよい方法を見つけることができる」を思い出すべきです。しかし、当時この言葉に
       感激した多くの日本人も今ではすっかり変わってしまいました。1,000万人以上殺したことも、賠償金を払わなかった
       ことも知らないのか忘れたかです。中国が反日教育をするのが悪い、過去を忘れて、未来志向でいくべきだと言います。
       原爆を落とされたことは絶対忘れないにもかかわらずです。ケ小平副首相の言葉も、これは中国が軍事力を増強する
       ための時間稼ぎであったと言う人までいます。そこまで信用できなければ、軍事力による解決策しかないかも知れません。
       その時は(1)項に述べた戦時状態となることを覚悟しなければなりません。一島を譲渡する程度の譲歩で失う国益と今後
       この3国との友好関係で得られる国益とをよくよく比較してください。

    (4)右翼問題

      1部マスコミでは「日本は中国進出により中国人に文明を教えてやったのだ」とか「韓国を併合して韓国人を日本人と同じレベルに
      引き上げてやったのだ」という意見が載っています。このような意見は正に民族差別(侮蔑)論です。その他にも、
      多くのヘイトスピーチが聞かれるようになりました。多くの週刊誌は中韓への悪口雑言に満ち満ちています。勿論、
      中国の人権問題等指摘すべき点は多々あると思います。しかし、中国では、毎年7%程度国民が豊かになっています。
      日本に比べれば、羨ましい限りです。全体的に見ればそれ程悪い政策は取っていないと言えます。悪口雑言は中国人、
      韓国人の日本に対する憎悪を引き起こす原因になるだけでなく、日本が世界中から嫌われる原因となり、戦後営々と
      築いてきた平和国日本のイメージをも台無しにします。
      言論の自由も有りますが、言論の責任も考えるべきです。このような悪口雑言に対しては、他の多くのマスコミがこれを
     非難して日本人のほとんどはこのような考えを持っていないことを伝えるべきです。マスコミが他のマスコミを非難する
     というのはタブーになっているようですが、是非、マスコミどうしで相手の非難合戦をやることをお願いします。

   (5) 憲法改正

      私は、憲法改正に将来的には反対しません。内閣法制局のいう「生存権はあるのだから、9条で戦力の禁止を唱っていても、
      自衛のための戦力を持つのは憲法に違反しない」という解釈は相当程度無理があると思います。ただし、今の緊張状態のもとでは、
      憲法改正を口にしただけで、相手国は、日本は領土問題の解決に軍事力を使おうとしていると捉え、緊張状態を加速します。
      領土問題を解決するまで、この議論は封印すべきだと思います。

    7.おわりに

      私は、政治家でもなく、評論家でもなく、歴史家でもなく、又、いかなる団体にも所属していません。また、この文を書くのに、
      誰とも相談せず、この分野の専門書を読んだことも有りません。使った知識、情報は新聞とパソコン検索から得られたものだけです。
      そして、前回の文と同様、この文は人を説得するためのものでは無く、同意を得るためのもでも有りません。
      単に参考にして頂ければ幸いです。