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標題は宮部みゆきさんの小説です。
宮部さんはご存じの通り直木賞を受賞したミステリー作家ですが、「百物語」をシリーズとして書かれています。
「百物語」では直木賞作家でミステリー作家の京極夏彦さんの「巷説百物語」シリーズがあり、以前読んだことがあります。
宮部さん、京極さんそれぞれの持ち味を生かした「百物語」です。
宮部さんの「百物語」とはどのようなものなのか、本の紹介がありましたので引用します。
※江戸は神田にある袋問屋・三島屋は、一風変わった百物語を続けている。
店の奥の「黒白の間」という座敷に一度に一人、または一組の語り手を招き、差し向かいで耳を傾ける聞き手も一人である。
そこで語られた話は決して外に漏らされず、「語って語り捨て、聞いて聞き捨て」
これをもっとも大切な決め事としている。
そもそも三島屋の主人・伊兵衛の思いつきで始まったこの変わり百物語だが、これまで聞き手を努めてきた姪のおちかが、この春、めでたく嫁にいったので、次なる聞き手は伊兵衛の次男・富次郎に変わった。
気さくで気が良く旨いもの好き、跡取りではないから「小旦那」と自称する富次郎。
おちかが聞き手だったころに、ふとした縁の導きがあって三島屋に入り、百物語の守役となったお勝。
富次郎が幼いころから三島屋に奉公してきた古参の女中、おしま。
この三人で語り手を迎え、新たな百物語の幕が開く。
この本は四つの異なる話からできています。
・再会した友が語り始める一家離散の恐ろしい運命(第一話「泣きぼくろ」)
・村の女たちが「絶景の丘」に登ってはならない理由(第二話「姑の墓」)
・妻子を失った走り飛脚が道中めぐりあう怪異(第三話「同行二人」)
・異形の屋敷に迷い込んだ者たちを待つ運命(第四話「黒武御神火御殿」)
宮部さんの巧みな文章表現により登場人物が目の前に現れ、おどろおどろしい体験を富次郎と共に聞いているような錯覚を覚えます。
四話ともよくできていますが、特に第四話の「黒武御神火御殿」は奇想天外なスケールの大きいものなっていて、宮部みゆきさんの面目躍如な物語です。
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